いきなりの昇格!?まだ、何もしていないんですけど
初投稿なります。ボッチーです。思いつくまま、成り行き任せの投稿です。優しく見守ってください。宜しくお願いします。
ほどなくして、ギルドマスターの部屋に着いた。
部屋は執務部屋らしく、綺麗に整理されており、大きなデスクと、立派なチェアー、中央には、来客用と思われるソファとテーブルが置いてあった。
すると、ギルドマスターが、ソファに座るように勧めてきたので、素直にソファに座る。
「さて、何から話せば良いかな?とりあえず、ギルド登録おめでとう、ユキヤ君。」
どうやら、移動中に落ち着いたようだ。
「君は今日、登録したばかりだと言う。では、あの魔物達は、何処で入手したのか?聞かせてくれないかな?」
と、やや尋問的な感じで、質問してくるギルドマスター。
そりゃそうだ、A級の魔物なんて、そうそうお目にかかる物じゃない。それも、あんなに大量にだ。
それを登録したての新人が、持ってきたのだ、疑いの目が向けられても仕方がない。
ただ、ユキヤにとっては、それはわからなかった。
そもそも、魔物のランクなど理解していない。
登録したばかりなのだ。
依頼もまだ受けて居ないし、そういったランクの棲み分けが出来ていないのだ。
ただ、襲われたから、迎撃して倒してしまっただけだ。
特に、不審な事はないと、ギルドマスターに伝える。
「・・、森で襲われて、返り討ちにしたと、そう言う事かね?」
「ハイっ、その通りです。魔法と体術で倒しました。」
と、素直に答えるユキヤ。
すると、暫くの沈黙の後、ギルドマスターが、話し出した。
「ギルド登録の際に、説明を受けていると思うが、冒険者や魔物にはランクがある。それは、間違って、高ランクの魔物に、低ランクの冒険者が、挑まない為だ。無駄に命の危険を侵す必要がないように。
ただでさえ、冒険者は危険な仕事だ。
いつ死んでもおかしくない。
だからこそ、自身の力量に照らし合わせて、仕事をする。
ギルドも同じだ。
本人の力量に照らし合わせて、仕事を斡旋している。
だが、今回の君の件は、これに当てはまらない。
本来、Fランクの冒険者が、A級の魔物を討伐、しかも、単独で、倒すなど、あってはならないのだ。」
なんか雲行きが怪しくなってきた。
だって、倒せたもんは、倒せたんだから、別に構わないじゃないか?
確かにギルドマスターの言うことは正しい。
でも、今更過去は変えられない。
「っと、別に説教をしているわけではないんだ。
そういう仕組みがギルドにはあるということを、改めて理解してほしかったんだよ。
そこで、相談と言うか、これは、命令だな。
ユキヤ君、君を今日から、Aランク冒険者に任命する!!」
(はっ、Aランク!?今日登録したばかりで、まだ何も依頼受けて無いのに、なんで急に!?)
「えっ、えっ!?」
「そうだ、Aランクだ。」
(違〜〜うっ!そうじゃない!?なんで突然、昇格なのか知りたいんだ!!)
「動揺するのも無理もない。ギルドとしても異例中の異例だからね。」
(だったら、なんでっ!?)
「先程も言っただろう。自分の力量に照らし合わせたランクがふさわしいと。
君は、A級の魔物を単独で、討伐出来る人材だ。
本来なら、Sランクでもおかしくはない。
ただ、Sランクになるためには、中央ギルドか、各国の国王の推薦が必要なのだ。
だから、すまんが、Aランクで我慢して貰えないだろうか?」
「我慢なんて、とんでもない!それよりも、その昇格自体に問題がありますっ!!
僕は今日、登録したばかりの新人ですよ。
まだ依頼の一つも受けていないのに、周りの人が納得するとは思えません!」
すると、ギルドマスターは、こう切り返してきた。
「君は先程、登録したばかりだと言ったね。
実は、先程、ギルド内で揉め事があって、君が相手をぶちのめしたと報告が上がっている。相手は酔っぱらっていたとは言え、Cランク冒険者だ。その彼をなんなく退けたんだ。問題は無いよ。」
どうやら、先程の一件は、すでにギルドマスターに報告済みだったようだ。
(シリをどうにかしたのは、ヒルダさんだったんだけど・・・。)
「先程も言ったが、己れの力量に合ったランクにつくことも、冒険者として必要な仕事だ。受けてくれるね。」
どうやら、逃げ道は無さそうだ。
諦めて、「ハイ」と、答える。
「いやぁ〜、良かった♪ツペンターク領は、比較的安全な街とはいえ、有事の際に、高ランク冒険者が居てくれると、助かるよ。ここのギルドには、Cランクまでので冒険者しかいなかったからね。
今日は本当にめでたい!!」
(これで、中央にも顔が効く。運営費の増額や、待遇面の改善などされるかも知れない。良い取引だった。)
などと、ギルドマスターが考えている事は、知らずに了承してしまったユキヤ。
「さぁ、ギルドカード出したまえ。今、更新しよう。」
言われた通り、ギルドカードを渡すと、手早く更新が終わり、手元に返ってくる。
Fというところが、Aに変わっていた。
「コンっ、コンっ」
ギルドマスターの部屋のドアがノックされた。
「ヒルダです。ユキヤさんの報酬の件で参りました。」
どうやら、査定が終わり、ヒルダさんが報告に来てくれたようだ。
「いいよ。入りたまえ。」
「失礼します。」
ヒルダさんが入ってきた。
ヒルダさんと目が合うと、ニコリと微笑んで応えてくれたが、先程の一件もあり、お尻がキュっと締まる。
「こちら、査定の見積もりになります。」
目の前に、査定結果が置かれるが、全く読めない。
すると、ギルドマスターも、査定用紙を覗き込み、「ウン、ウン」っと、頷いている。
どうやら、妥当な額らしい。
すると、ギルドマスターから、
「良質な魔石が取れたようだね。なかなかの金額だ。どうだね、これで構わないかな?」
そもそも読めないし、金銭感覚も魔石や素材の価値も分からないのだ。了承するしかない。
「ハイ、これで構いません。」
「それじゃ、ヒルダ君。報酬を用意してくれるかな?」
とギルドマスターが言うと、あらかじめ用意されていたのだろう。ヒルダさんは、すぐにお盆に報酬を乗せて、テーブルに置いてくれた。
「報酬の7百58万3千ゼニーになります。」
「・・・。」
黙って、報酬を受け取る。
「ツペンタークのギルドの依頼は高くても、Cランクまでだから、暇を持て余してしまうかもしれないが、これからよろしく頼むよ、ユキヤ君。
分からないことがあったら、そこのヒルダ君に尋ねると良い。彼女は、元冒険者でBランクだったからね。」
なるほど、だからあんなに強かったのかと、納得するユキヤ。
まぁ、彼女が怖いのは、別の性癖的な意味ではあるが・・。
こうして、ユキヤは、ギルド登録日にAランク昇格という異例の形で、初出勤(?まだ仕事はしていない)を終えることになったのだった。
構想、数年の作品です。初投稿故の、誤字等あると思いますが、楽しんで頂けたけたら幸いです。なるべく間隔を開けずに投稿しますので、続編も宜しくお願いします。
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