私はハゲでは無い
初投稿なります。ボッチーです。思いつくまま、成り行き任せの投稿です。優しく見守ってください。宜しくお願いします。
受付け嬢・ヒルダさんの案内で、ギルド裏手の解体小屋にやってきたユキヤ。
いつも通り、
「ごめんくださ〜い」
と、場違いな挨拶をして中に入っていく。
すると、カウンターらしきところに、座っていたガタイ良い中年の男が、これに応えた。
「あっ!?、解体か、買い取りか、どっちだ?」
「えっと、両方でお願いします。」
よくわからないので、両方でと答えるユキヤ。
「解体もとなると、大分買い取り値が下がるが、良いのか?」
どうやら、見た目によらず、親切な人のようだ。
「かまいません。解体とかやったこと無いので、お願いします。」
そう言うと、ユキヤのことを、再び見下ろして、納得したように応える解体屋のおじさん。
「なるほど、新人か?それなら無理もない。だがなお嬢ちゃん、解体も出来るようにならんと、ろくな収入にならんぞ。今回はいいが次からは、自分でやる事も大事な仕事だぞ。」
と、親切だけど、女の子と勘違いされているらしい。
またか、凹んでいると、おじさんから声がかかる。
「それで、何を解体するんだ?どうも手ぶらのようだが、外にでも置いてあるのか?」
性別を訂正したいところだが、質問に対して、無視して機嫌を損ねてはならないと、訂正は諦めて、慌てて答える。
「いえ、魔物の死骸はココです。・・よいしょっと」
「ドサッ!」
何もない空間から、2首の犬の死骸を出すユキヤ。
一方、それを目の当たりにした解体屋のオヤジは、突然現れた魔物の死骸に、驚いた。
「おまっ、何処から!?・・アイテムバック待ちか?」
「いえ、コレは僕の魔法で、物を収納出来る魔法なんです。」
と答えるユキヤ。
するとオヤジさんは、
「・・そんな魔法聞いたことも無いがなぁ!?・・・、まぁ、えぇ。ちょっと黒焦げで何の魔物か分からんから、見聞させてもらうぞ。」
と、一応、納得してくれて、査定に入るらしい。
「それにして、黒焦げだな。どうすればここまでなるのやら?・・んっ!?2つ首の魔物だな。それとこれは、犬?オオカミ?のような・・・!?」
「・・・まさか、いやこの牙、この爪、いや間違い無い!!こやつは、アルバロトスだ!?」
(アルバロトスって言うんだ、でもどうしてあんなに動揺しているんだろう?)
そんなことをユキヤが考えていると、解体屋のオヤジは、、血走った目でユキヤに詰め寄った。
「お嬢ちゃん、これを何処で仕留めた!?・・・お嬢ちゃんは見るからに魔法使いなんだろう?この黒焦げの死骸からも魔力の残滓が見て取れる。何処だっ!?ツペンターク周辺ではあるまいなっ!!」
なんか必死だった。
とりあえず、遠くの森で倒した事を、オヤジさんに伝える。
「・・そうか。ツペンターク周辺では無いんだな、安心したぞ。」
「・・そんなにまずい魔物だったですか?」
ユキヤが、軽く返すと、血相を変えてオヤジさんは答えた。
「まずいも何も、とんでもない!!コイツはA級の魔物だっ!!もし、ツペンタークに現れておったら、街は壊滅しとおるっ!!ぶべっ!!へっ!へっ!」
興奮のあまり、咳き込んでしまう、解体屋のオヤジさん。
「っ、大丈夫ですか!?」
「・うへっ!へっ!・・・。大丈夫だ、あまりの事に興奮してすまんかった。・・・それでコレはお嬢ちゃんが退治したんだなぁ?・・とにかくようやってくれた。礼を言うぞ。」
と、どうやら落ち着いてくれたらしい、更に、礼まで言われた。
「・・あの黒焦げですけど、買い取り可能ですか?無理なら処分しますから・・。」
と言うと、再び、興奮して口調を荒げる解体屋のオヤジさん。
「しっ、処分など勿体ない!?コイツの牙や、爪は貴重な素材だっ、あと、身体の中にも、純度の高い魔石があるはずだっ!!皮は使えんが、それでも相当な価値だっ!!」
(そうか、魔物の中に、魔石があるのか。)
と、場違いな事を考えているユキヤ。
すると、それが売却拒否の姿勢に写ったのか、慌てて、解体屋のオヤジさんが、問いかけてきた。
「っ、もちろん、買い取らさせてもらうっ!こんな絶品、他に流したら、ヒルダにどんな目に会うか・・ブルっ!?」
ヒルダさん、相当怖がれているんだなぁと、改めて意識してしまうユキヤ。
「あと、他にもあるんですが、それも良いですか?」
「っ、他にもだとっ!?・・・それはコレと同等のものということか?」
「多分、おんなじ部類だと思います。」
正直、魔物のランクなんて、わからかったが、同じ森で倒した魔物だ。きっと、同じ扱いだろうと、あたりをつけて答えるユキヤ。
「っ。そ、そうか。分かった、もう驚きはせん!!どんとこいっ!!」
まるで戦場に赴く、戦士のような気合いを入れて応える店のオヤジさん。
「それじゃ、出しますね。・・・、ドサッドサッドサッ・・。」
「ッ、、コイツはアラクネに、キマイラ、それにクロスベアーかっ!?」
結局、驚くオヤジさん。
「・・・お嬢ちゃんは一体、何者だ?見てくれは、新人っぽいのに、これだけの魔物を容易に屠るとは・・・。」
(魔物には大きな傷が一つ二つあるだけで、小競り合いをした形跡が無い。つまり、圧倒的な力の前に屈したと言うことが分かる。
ただ、分からんのがそれを成したのが、年端もいかない少女と言うことだ。)
解体屋のオヤジさんは、声を張り上げた。
「ケビンっ!ケビンっ!!おったら、すぐ来いっ!!」
すると、奥から20代前半の金髪の青年が出て来た。
「なんですか、オヤジさん?僕は、あっちで運ばれた大量のポークの解体で忙しいんですけど?ッて!?なんだこの魔物はっ!?B級?いや、まさかA級の魔物っ!?」
「・・・興奮するのは無理もない。全てA級の魔物だ。
悪いが、ギルドマスターを呼んで来てくれないか?相談がしたい。」
「っ、わっ、分かりました!すぐに呼んで来ますっ!!」
と、言うと、ケビンと呼ばれた青年はすぐにギルドの建物に向かった。
「悪いな、嬢ちゃん。・・・、買い取りはする。だが流石にこれだけ魔物を容易に、受け取ることは出来ん。ギルドマスターが来るまで、少し待ってもらえんだろうか?」
なんか大事になってしまった。
でも自分の無知故の、過ちなので、潔く受け入れる。
「分かりました。買い取って頂けるなら、平気です。」
そう言うと解体屋のオヤジさんは、早速、見聞を始めた。
暫くすると、先程、ケビンと呼ばれた青年と、40歳手前ぐらいだろうか、冴えないオッサンが一緒に現れた。何処が冴えないかと言うと、その頭頂部が、所謂バーコード剥げだった。
綺麗なバーコード剥げに感心していると、そのハゲが、目線に気付いたのだろう。
「うぉっほんっ!!」
と、わざとらしい咳払いをした。
やば、凝視しすぎだと反省して、何食わない顔で、ハゲを迎えるユキヤ。
すると、ハゲが、解体屋のオヤジさんに話しかけた。
「ドグ、一体何事ですか?ケビンが、血相変えて、すぐに解体小屋に来て欲しいと言うから、来ましたが、私も暇では無いのですよ。」
解体屋のオヤジさん・ドグに釘を刺す。
「・・そんなことは分かってらい。でも、これを見て同じセリフが吐けるかね?」
と、ドグが言うと、
「私はハゲてはいないっ!!ただ、薄いだけだ!?」
と、見当違いの答えを返してきた。
「違う、違う、そうじゃないっ!コイツを見ろって言ったんだッ!!」
(どうやら、吐けをハゲと勘違いしていたようだ。相当、気にしているのだろう。触れないように、注意が必要だな。)
「・・、ぅん、魔物の死骸か、それがどうしたと・・い・・んだっ!?」
「ほれ、A級の魔物の束だ。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「・・・コレは、彼女が?」
「・・あぁ、そうだ。そこのお嬢ちゃんが狩ってきた魔物だ。買い取り希望らしい。」
「っ、これを全て買い取りだとっ!?本当に良いのかね、お嬢さん?」
「ハイっ!お願いします!あと、僕はユキヤって言います。先程、ギルドに登録したばかりの新人です。」
「「「なっ!?」」」
「登録したばかりだとっ!?それじゃあ、Fランクか!?」
「それに今、僕と言ったなぁ。お嬢ちゃんじゃなくて、坊主だったのかっ!?」
「だから、私はハゲでは無いっ!!」
「違うっ!そうじゃ無い!!コイツが男だったのか確認しただけだっ!!」
もう、クダダダだった。
ギルドマスターが、過敏に言葉に反応して話が進まない。
「っ、お、男っ!?その毛根が恨めしいっ!!」
「落ち着け、ギルドマスター!!それより、この魔物だ。このまま買い取らことは出来るが、ぼ、少年のランクが今のままでは釣り合わん。なんとかせいっ!!」
「ッ、そ、そうだな!・・・、ユキヤ君と言ったか、すまんが私の部屋まで来てくれるか?・・その間に、査定も終わるはずだ。そうだな、ドグっ!!」
「任せておけ、こんな大仕事の前じゃあ、他の仕事などしておれん。キッチリ、査定して、報告を上げるわい!!」
「と、言うことだ。ユキヤ君、着いてきなさい。」
ただ、魔物の買い取りを希望しただけなのに、なんか大事になってしまったらしい。
仕方なく、ギルドマスターの後に続いて、マスターの部屋へと移動するユキヤ。
とにかく、1日目にして内容が濃すぎて、ユキヤ自身もついていけていない。
早く、話終わらないかなぁと、淡い期待を抱いてマスターの部屋に入っていくのだった。
構想、数年の作品です。初投稿故の、誤字等あると思いますが、楽しんで頂けたけたら幸いです。なるべく間隔を開けずに投稿しますので、続編も宜しくお願いします。
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