帝国の内情とカリーヌ
初投稿なります。ボッチーです。思いつくまま、成り行き任せの投稿です。優しく見守ってください。宜しくお願いします。
国王の命を受けた、ユキヤとルメールは、トンプソン帝国へと向かった。
未だ、魔物との戦闘に、躊躇しているユキヤは、魔力索敵を行いながら、帝国へと向かって行った。
帝国の国境に差し掛かると、ルメールが、
「まずは、帝国の属国だった国との国境付近を、見て回ろう。」
と、指示を出した。
属国との国境付近は、天使族によって、ひどく荒らされていた。
付近の街にも被害が出ており、家屋が、無惨にも破壊されていた。
ユキヤは、それを見て、
(天使族は、本当に容赦ないな。
戦ったのは、兵士だけなのに、民間人にも被害が出ている。
そこまでする必要があったのか?)
と、天使族の行動に、疑問を感じる。
すると、街の中で、列をなしている集団を、見かけた。
よく見ると、どうやら、炊き出しを行なっているようだ。
興味本位で、その例に近づくと、懐かしい匂いが、鼻をくすぐる。
カレーだ。カレーの匂いだっ!
ユキヤは、そう判断すると、炊き出しの列に並ぶ。
ルメールは、また、何かあるのかと、ユキヤと共に、列に並ぶ。
徐々に、列が減るたびに、カレーの匂いが、強くなってくる。
そうして、ユキヤたちの番になると、茶色い液体が入った、寸胴が、目に留まる。
やっぱりカレーだっ!と、ユキヤは思い、炊き出しをしている人に、この液体は何かと、質問した。
すると、炊き出しの係の人は、
「これは、〈カリーヌ〉と言う、肉と野菜を煮込んだ食べ物です。」
と、答えた。
ユキヤは、その〈カリーヌ〉の入った皿を受け取ると、アイテムファイルから、作り置きの〈イネ〉を取り出し、〈カリーヌ〉をかけて、掻き回し始めた。
それを見た、ルメールは、
「おい、ユキヤ。食べ物を粗末にしてはいけないぞっ!」
と、注意した。
すると、ユキヤは、
「これは、カレーライス、いや〈カリーヌライス〉と言って、〈カリーヌ〉が、〈イネ〉に染み込んで、美味しいんですよ。」
と、言って、スプーンで〈カリーヌライス〉をすくい、食べ出した。
すると、ユキヤは、
(やっぱり、カレーだっ!カレーの味がする。
まさか、帝国に、カレーがあったなんて、盲点だった。)
と、思いながら、懐かしい味を楽しんだ。
すると、そんなユキヤを見ていた、ルメールが、
「美味そうに食べるな。ならば、私にも、〈イネ〉を出してくれ。」
と、〈カリーヌライス〉に興味を持ったようだ。
ユキヤは、ルメールの分の〈イネ〉を取り出すと、ルメールに渡した。
ルメールは、最初は躊躇していたが、ユキヤのように、〈カリーヌ〉をかき混ぜる。
そして、口に運ぶと、
「本当だっ!ちょっと辛いが、〈イネ〉に〈カリーヌ〉が染み込んで、独特の旨味があるなっ!!」
と、言って、パクパク、食べ始める。
そんなルメールを横に、ユキヤは、炊き出し係の人に、〈カリーヌ〉の入手方法を教えて貰う。
炊き出し係の人は、
「これは、〈カリーヌの粉〉と言う、調味料を使っています。
ただ、今は、物資が不足しているので、この街での購入は、厳しいです。
帝都まで行けば、多分、購入出来ると思います。」
と、教えてくれた。
ならば、すぐにでも、帝都に向かわねばと、ユキヤが思っていると、
それを察したルメールが、
「ユキヤ、〈カリーヌの粉)なるものが、欲しいのは、顔を見れば分かる。
だが、まずは、国境付近の調査が、先だ。
帝都は、逃げん。落ち着け。」
と、諭されてしまうユキヤ。
煮込んで、二日目以降の、カレーの味を知っているユキヤは、早く手に入れたかったが、ルメールの方が、正論を述べているので、それに従った。
だが、頭の中では、カレーがあれば、カレーパンや、カレーうどんも作れるなぁと、思っていた。
一方、帝都の城の、執務室では、沢山の書類に囲まれた、新・皇帝、ジキル・トンプソンが、気怠そうにしていた。
望んで、皇帝になった訳ではない彼は、書類の束に、うんざりしていた。
そんなジキルに、宰相は、
「陛下、少しずつでいいので、書類にお目を通してください。国の復興に、必要な書類です。
陛下の承諾がなければ、復興が進みません。」
と、懇願した。
しかし、ジキルは、
「ぼくは、こんな作業よりも、絵が描きたいんだ。
代わりに、やっておいてくれない?」
と、相変わらず、気乗りしない様だ。
だが、宰相も引けない。
「これらは、陛下のお仕事です。私に、その裁量はありません。
と、断る宰相。
ジキルは、仕方なしに、書類に目を通すが、今まで、政治に関わっていなかった為、書類を見ても、よく分からない。
これが、亡くなった第一皇子ならば、テキパキと作業をこなしていただろうが、芸術に没頭していたジキルには、荷が重い作業だった。
このままだと、いつまで経っても、絵を描く事など出来ないと、思ったジキルは、内容が、理解出来てなくても、了承のサインをしていく。
そんな彼の元に、運命的な出会いが、訪れるのだった。
構想、数年の作品です。初投稿故の、誤字等あると思いますが、楽しんで頂けたけたら幸いです。なるべく間隔を開けずに投稿しますので、続編も宜しくお願いします。
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また、2作目、[暗殺一家の落ちこぼれ。魔法を極めて、世界を救うっ!!]も、連載開始しました。
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