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雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


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壁の花の繁栄        :約500文字

 誰かが壁に花の絵を描いた。

 それを見た他の人たちが、後に続くように花の絵を描いた。

 花は少しずつ増えて、やがて壁は花でいっぱいになった。



 ある日、壁は砕け散った。


 空から落ちてきた爆弾によって。


 花の絵は、煤けた町のあちこちへと飛び散った。

 長い長い曇り空の日々が続いた。

 町は色を失い、静まり返り、草木は枯れた。

 ただ、花の絵は枯れなかった。

 陽の光が届かなくとも、咲き続けた。

 吹き溜まりや崩れた家の片隅、瓦礫の隙間――それはささやかに、大地を彩った。


 やがて、本物の花が咲くようになった頃。

 人々は花の絵を拾い始めた。

 絵は砕かれた壁に埋め込まれ、そして、誰かがまた花の絵を描いた。


 町は花でいっぱいになった。

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