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雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


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701/705

あいうえお         :約1000文字 :奇

 ――あ――



 あ、あ、あ、ああ、ああ、ああ! ああ!

 ああああー。あああああー……。

 ああ。ああ。ああ。あああああ!

 ああ。ああ。あああああ! あああああ。

 あああああ、あああああ、あああああ。

 あー! あああ! ああー! ああああ!

 あああああ! ああ……ああ……あああ……。



 ――い――



 ああ、ああ。あああああ。あいあ……い、い、いい、いいいいい、いいいいいい!

 いい! いいい! あ……ああ。あ。ああい。あい。あい! あい!

 あい! あい! あい! あい! あい! あい! あいあああ!

 あいああい! あいあいい! あいいいい! あいいいあ!

 あいいああ! あいあいあ! あいいいあ! あいいいあ! あいいいあ!

 ああああああああ! あい、あいい……。



 ――う――



 あい! あい! あうい! う? う、う、う……。

 あ、い、う、あいう。

 あいううう。あいういう。う、う、う、う。

 あい……。

 あいいうあ。あいいうい。あいいうう。

 あいいうう。あいいうう。あいいうう……う、う、う。

 あいあいあいあいあい。

 あいう……。



 ――え――



 あい、あいあいあいあい。あいいうう。

 あいいうう。あいいうう。

 あいうえう。あ、い、う……え。

 え、え、え、え、え、え。

 あいいえう。あいいえう!

 あいいえう! あい! あいいえう。あいいえう、ううう、うあああ。



 ――お――



 あい。あい。あいいえう。あう、お、お、お、お。

 あいいえう、お。あいうえお。あいうえお……。

 お、お、お……あいいえう。

 あいうえお。あお、あい、あい。あいおうえ、あいうおえ……あい、あい、あいいえう。

 あい……あい。あい……。







「素晴らしい学習スピードですね。一日おきに一文字ですか」

「ああ、実験は成功だな。脳へ投与した新薬の効果は間違いなく出ている」


「この調子ですと、会話もそのうちできるようになりますね」

「あー、まあ、言葉を発することと使いこなすことは違うからな。まだまだ時間がかかるだろうな」


「でも彼、勉強熱心ですよ。ほら、ずっとモニターを見てる」

「ああ、すっかり気に入ったようだ。映画はいい教材だな」


「ええ……それはそうと、彼なんだか歯痒そうじゃないですか? 何かを言いたそうに見えますが……」

「そうか?」


「はい。お? あの女優、彼のお気に入りですかね? 画面に出たときに強く反応してるような気がします」

「ふむ……まあ、この調子で覚えていけば、いずれわかることだ。他の実験体のように死ななければの話だがな」





 ……あいいえう、あいいえう。

 ああ、あいいえう……。



『待っている間、ずっとあなたのことを想っていたわ』

『僕もだよ。任務中、ふと君の顔が頭によぎるんだ』


『ほんと?』

『ああ、愛してる』

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