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雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


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風習に追われ

 ……ふぅー、目覚め。一日の始まり。

 着物に着替えて初詣。おせちと七草粥を食べる。鏡餅を木槌で割り、破片と一緒に豆をまく。それから雛人形を配置し、お花見を開始。仏像に甘茶をかけつつ、鯉のぼりを立ち上げ、五月人形で雛人形を倒す。カーネーションと黄色いバラをプールにばら撒き、水着に着替え、浮き輪を装着、プールに飛び込む。

 プールから上がった後は短冊を飾り、用意していた鰻を火で焼いて食し、黙祷。

 それから打ち上げた花火を眺め、コーヨーという名の凶暴なエイリアンをマローン爆弾で狩り、コタツに入り、年賀状なる怪文書を書きながら、わんこそばを食らう。



 ……やっと終わった。今日は年に一度の「先祖の日」自分のご先祖様の国の行事、文化を振り返り、敬うというこの日。先祖と言っても随分古く、思入れなどはない。

 しかし、文化の保存はその血を引く者の義務なのだ。前までは分担できたのに今じゃその血を引く者ってやつが、おれしかいない。

 宇宙政府から補助金が出るのは良いけどまったく目まぐるしくて敵わん。さっさと家に帰って……ん?


 ああ、どうも。見てました? 撮影班もバッチリのようで、え? 来年からは全ての国の行事を頼む? もう、地球人の血を引くのがおれだけ? は? なんで? まだ他にも地球人の血を引く宇宙人がいたでしょう? 死んだ? 寿命? ああもう、みんなそんな歳だったか……。


 まったく、うちの先祖は長生きすることにこだわりすぎる。長寿の宇宙人とばかり異種族婚したから、おれはまだまだ生きそうだ。

 しかし、来年の先祖の日は忙しさで死んでしまいそうだなぁ……。

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