大活用! あなたのお家の冷蔵庫
「大活用! あなたのお家の冷蔵庫! はいっ! というわけで人気タレント兼料理研究家の私、清水明子が今回やって来たのはこのお宅! ちょうどいい感じの一軒家ですねぇ!
はい、えー、今回はこちらのお宅のご主人からのご依頼です!
『うちの妻の料理がマズくてマズくて喧嘩までしちゃいます! 助けて先生!』
ですって! 作ってもらってるくせに文句なんて言うんじゃないよ! なーんてね! どんなお悩みも先生にお任せあれ! と、いうことでさっそくインターホンをドーン!」
『……はい、どちらさまでしょう』
「宅配便でーす!」
『あ、はーい』
「はーいですって! ウフフ嘘ついちゃいました。毎度のお約束。面白いでしょ? あ、開きましたね」
「あれ? あの……」
「はいはいはーい! 上がりますよっと! あらま! まあ汚い!
お掃除担当の前原せんせー! こちらのお宅、先生のコーナーでも取り扱ってもいいかもしれませんよー! あはは!」
「あの、勝手に……」
「はいはいはーいっ! 勝手じゃないですぅ! 聞いてなさらない? ご主人からのご依頼ですよー!
そういうことなんでぇー、さあ、冷蔵庫御開帳! おやま! 結構入ってるじゃない! じゃあ今日はこれを活かして最高の夕食を作っちゃうよ!」
「え、その困ります……」
「困ってるのはこちらのご家庭でしょ!? ほらほらスタッフさん、相談メール見せて差し上げて。
美味しい料理を食べたらみんな仲良し! 喧嘩なんてしなくなりますよっと!
さあさあ、奥さん! あなたも突っ立ってないでこの私の技を見て盗むの! ふふふ、嘘よ、ちゃーんと教えて差し上げますからね!」
「え、あの……はい」
「ほらほら、もたもたしないの! 出す! 並べる! はいはいはいはいはい!」
「あ、あ、はい」
「切って切って潰して潰してこねてこねこねこねて!」
「は、は、はい!」
「と、いうわけで完成ー! 奥さんもご苦労様! まったく手がプルプル震えて見てられなかったわ! でも吹っ切れたのかしら? 後半は良かったわよ!」
「はい……捨てようと思ってたんですけど、こういう方法もあるのかなって思って」
「捨てるなんてとんでもなぁい! いい食材じゃないのぉ! 見る目はあるようね! 先生安心!
さ、それでもういい時間だけど、ご主人はいつ帰ってくるのかしら? お料理が冷めちゃうわぁ」
「あー……その、実は出て行って……」
「ま! なんと! もー! 一足遅かったわけね……。でもほら、こうしておいしそうな料理をテレビで見たらきっと帰ってきたくなるわよ!
放送いつだっけ? 来週? じゃあ、そのあたりにはきっと戻ってくるわ!
さ、奥さんも笑って笑って! 旦那さんにアピールするのよ! ほら、見てますかーって! こらこら、なによそんなに料理ばかり見て。おなかすいちゃったの? もーしょうがないわね。じゃあ実食タイムよ! 量が多いけどスタッフが美味しくいただきますからね!
旦那さーん! ほら早く帰って来てねー! 見てるー!? だからほら奥さんも!」
「み、見てるー? あははは」
「そうそう……って料理に手を振ってどうするの! もー、天然さん? しょうがないわねー。さ、食べちゃいましょう!
持て余した物もこの通り! 大活用! スタミナ満点肉三昧! いただきまあぁーす!」




