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雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


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ある新組織

 とある町の古びた建物。そこの一室に集まった複数名の男女。彼らは今、練り上げた計画の最終確認をしていた。


「ねぇ、その……本当にやるんですか? ……ボス」


「あぁ!? あったりめえだろぉ! 何のために足りねぇ知恵出し合ったと思ってるんだ!」


「そうだそうだ!」

「怖気づいてんじゃねーぞ!」

「まったく……」


「で、でも……その、やっぱり無理なんじゃ……」


「大丈夫だってんだよ! ああ、上手く行く。それに、やらねーでどうする? おお!? 稼がねーでどうやって食っていくってんだよ! まともに働けねーやつばっかでよ!」


 またもそうだそうだと囃す子分たち。女は「でも、やっぱり……」と顔を俯かせ指をモジモジさせる。


「なんだ? 元はと言えば、金の管理をしていたお前が不甲斐ないからじゃないのか?」


「う、で、でも精一杯やってますし……みんな、あ、皆さん、よく食べますし……」


「おいおいおいおい! 俺たちのせいか!? 聞いたかみんな! 俺たちのせいだと元ボス様がおっしゃっているぞー!」


「ざっけんなよ!」

「そもそもボスは一回成功させてんだ!」

「そうだそうだ! その金で今、食えてるんだろ!」

「おなかすいたー、これ食べて良い?」

「我慢しろ! あと、鼻水垂らすな!」

「そうそう、気を引き締めろ! これから潜入するんだぞ!」

「ふふん、俺はターゲットに上手く取り入ってやるさ」

「あたしもよ。ボスのためにやるわ」

「お前もちゃんとやれよ元ボスよぉ!」


「ひい、は、はい……」


「おめーら静まれ! そろそろ時間だぞ! ほら、車の音だ! ターゲットが来やがった! よーし、笑顔だ! 笑顔! 鼻水は拭いたな!? 段取りはわかっているよな? 気に入られ、家に行ったら金の在り処を探り、そして手に入れた後は泥棒がやったように見せかけるんだ! ああ、火をつけるのもいいぞ!」


「でもボスゥ……連中がいい人だったらぁ……?」


「それならそのままその家で暮らせばいい。フッ、達者でな。だが忘れるな、俺たちにひどいことしてくる連中もいるってことを!

わかっているだろう? 俺たちは元々、そんな目に遭ってきた! 殴られ、捨てられ……ああ、そんな顔するな。昔の話だ。今、俺たちは一つの家族だ! 助け合い、この家で暮らしていくんだ!

ほら、元ボス。お前も笑顔を作れ! 顔つなぎ役なんだからな! さあ練習だ。連中が来たら何て言うんだ?」


「……本日はこの児童養護施設、絆の家にようこそ!

きっと素敵な出会いがあります! 是非、気軽に子供たちとお話してくださいね!

ええ、みんな友達思いで、とっても優しい子たちですから……」

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