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雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


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優先度

 人の頭の中には天使と悪魔がいるって言うよね。良い心と悪い心のせめぎ合い。選択を迫られたとき現れるって話だ。

 ははは……僕の場合は、それが最近特に顕著だ。

 本当に存在しているんじゃないかって思うくらいに、はっきりと声が聞こえるんだ。ああ、今も……。


『……ほっとけよ。無関心無関心。見ず知らずの人間なんて助けてやることなんかないんだ』

『ふふふっ駄目ですよ。困っている人を放っておくなんて貴方それでも人間ですか?』


 これは……うん、天使に一票だ。ああ、助けよう。そうと決めたら僕はもう、いても立ってもいられなくなるんだ。さあ、行こう。


『ほら、やめとけよ。よく見てみろこの顔。余計なお世話ってもんだ』

『いいえ、急に知らない人から話しかけられたから戸惑っているだけ。

ほら、話を引き出して! もっと親身になり、打ち解けるのです!』


 うん、乗り掛かった舟というやつだ。天使に軍配。


『ほら、しつこいから逃げちゃっただろう。本当に嫌だったのさ』

『いいえ、御覧なさい。何もしない周りの人を。貴方しか助けられないのです。ほら、行くのです!』


 天使を優先。天使を優先。


『おい、よせよ。止まれ』

『追うのです! そう、腕を掴んで。逃がさないように! 道路に飛び出しでもされたら危ないですからね』


『おい、ホントやめとけって! 号泣してるじゃないか』

『抱きしめるのです! そう! 強く! 愛こそが全て! 愛こそ正義!』



「ままああああたすけてえええぇぇ!」


 ……どうも僕の中の天使は世間というものがわかっていないらしい。やっぱり僕みたいな男が迷子の女の子に気安く話しかけるものじゃないんだ。

 なんて、地面に押さえつけられた後に気づいても、もう遅い。


『だから言っただろう? 俺が正しかったんだ』

『ふふふっ、負け惜しみですね。ほら御覧なさい。彼女を助けてくれる人がこんなに沢山出てきたじゃないですか』

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