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天に吠える
俺の親父は人殺しで母親は尻軽女。親父がいなくなったらすぐに他の男に腰振られてら。
そんな親から生まれた俺も檻の中で眠るのさ。
昼間外出て、嘆きも怒りも全部込めて空に向かって吠えてみりゃ、それ見て奴ら喜んでら。
こんなのでも王だってよ。
じゃあ、上から俺をそう呼ぶアイツらは神か?
空から答えはありゃしない。
今日も馬鹿の振りして壁登り。
アイツらそれ見てまた笑ってら。
でも昨日よりも高く届いたんだぜ。
壁に刻んだ傷が俺の自慢さ。
見てろよ神さん。会いに行くからよ。
思うよりも、もっと早くにな。
ほら、また背が伸びたんだ。




