インコのイーコ
みなさんこんにちは! ボクの名前はイーコ!
ボクはとある家族に飼われているインコなんです!
自分がインコって鳥なことをわかってるなんて、えへへ、賢いでしょう?
そう、ボクは賢いのです! だからいろいろなことがわかるのです!
それではまず、みなさんにボクの家族を紹介しようと思います!
パパでしょ、ママでしょ、それにお兄ちゃんのケイタくんに妹ちゃんのユズキちゃん。
それから弟のシンゴくん!
みーんな仲良し! 今日の夕ご飯はハンバーグだって!
いい香り~。美味しそう!
でもボクはボクで美味しいご飯が貰えるからいいのです!
もぐもぐもぐ。みーんな笑顔。
でもシンゴくんだけは笑顔じゃないの。
どうしてかな? シンゴくんのご飯だけないからかな?
ママはどうして用意してあげないんだろう?
みんな、どうして気にしないんだろう?
シンゴくん、悪いことしてご飯抜きにされちゃったのかな?
ボクもたまにあるんだ。ご飯貰えないこと。すっごく、つらいよね!
でももっと、つらいのは、つつかれることかなぁ。
ケイタくんやユズキちゃんが籠の中にいるボクをつんつんって木の棒で突くんだ。
ガチャガチャ揺らしたり、大きな声を出して脅かしたりもするんだ。
ボク、それがとっても嫌なんだ!
ボクがこの家に来たばかりのときはそんなことしなかったのにね! なんでかなぁ?
ボク、賢いのによくわからないや。
あ! でもシンゴくんは別だよ! いつもボクに優しいんだ。
たまにね、籠を開けてボクを外に出してくれるんだ。
お家の中を飛び回ってすっごく楽しい気分になるの!
まあ、あとで他の人たちに怒られちゃうんだけどね。『勝手に出るな!』って。
でも楽しいからまたしちゃうんだ。
あ、ほらほらほら! シンゴくんが来たよ! わーい!
あれ? 今日はお部屋の窓まで開けてくれるの?
シンゴくん、ボクをお家の外に出したいのかな?
手をパタパタ動かして、ボクに外に行けって言っているみたい。
でもボクはシンゴくんが大好きだからこの家から離れたくないなぁ。
今日もほら、かくれんぼして遊びたいな。
だってせっかくこんなに隠れる場所があるんだもん! 楽しいなぁ! ほら遊ぼう!
あ、その顔。ボクのことを心配してくれているの?
大丈夫、きっと怒られないよ。だって最近、パパとママは喧嘩ばっかりして
ケイタくんとユズキちゃんも泣いてばかりいるもん。
誰もボクのことを気にしていないんだ。
えへへ、ボクもシンゴくんと同じだね!
昔はみんな、ボクの顎や頭を撫でてくれたのになぁ。
最近は誰も撫でてくれない。寂しいな。
あーあ、シンゴくんが撫でてくれたらボク、すっごく嬉しいのに。
なぜだかいっつも体を通り抜けちゃうんだよね。なんでかなぁ。
あ、またボクは賢くていい子なのに、なんでかなぁって言っちゃった。
ま、いっか! あはははは! あはははは、あ……。
えへへ、やっぱりまた怒られちゃった。賢いんでしょ、いい子にしなさいって。
みんな最近怒ってばっかり。やめてよ! みんな仲よくしよ! ってボク言ったんだけど
ボクの言葉って通じないみたい。うるさい! って言われちゃった。
でも久しぶりに触ってもらえてうれしかったなぁ。
手でギュッてされて痛かったけど温かかったなぁ。
ああ、でも今はなんだか寒いなぁ。
もう冬かなぁ。みんなはバタバタ何してるんだろう……。ああ、体が動かないや……。
えへへ、一晩たったら元気になったよ!
ほら! 見て! シンゴくん! びゅんびゅん飛び回れるようになったよ!
すごいんだよほら! 壁だってそうしたいって思えばすり抜けられちゃうの!
シンゴくんと一緒だね!
他の人たちにも見て欲しいけどまだ眠っているみたい。全然動かないや。
ん? なに? シンゴくん! 指にとまってほしいの?
できるかなぁ。
できるといいな。
前はなぜだかすり抜けちゃったもんね。
シンゴくんに撫でて欲しいな。
だってボクはシンゴくんのことが一番好きなんだもん!
あ、えへへへ。幸せだなぁ……。




