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雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


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流刑の星を見よ

『あの輝く星を見てごらん。そう、あれだ。あれが流刑の星だ』


 私が幼き頃、父が夜空に輝く星の一つを指さし、そう言った。

 進歩とは目覚ましいものだ。

一隻の宇宙船。長年、時間をかけようやく完成したかと思えば

二隻目、三隻目とより優れた物がそう間を置かず、次々と出来上がる。

 そうしているうちに我々人類は故郷を捨て

遠く離れたより良い星に住み着くようになった。

 そして、かつて住んでいた星は罪人を流す、流刑の星となったのだ。

どうやってもここへは来ることができない、あの遠き星に。


 私は父の話に涙した。我々の業。その傲慢さ。

 今、流刑の星ではかつて我々の同胞だった者の子孫が暮らしているらしい。

便利さとはかけ離れた原始的な生活。

そしてそれに気づきもしない無知で哀れな者ども。


 成長した私は人々に訴えかけた。彼らを許し、救いの手を差し伸べようと。

 しかし、皆せせら笑うだけ。

 友人知人、口をそろえて言う。放っておけと。

 ああ、なんと薄情なのか。罪人はどちらだ。


 私しかいない。

 彼らを救えるのは私しか……。

 だから私は宇宙船に乗り込んだ。


 流刑の星よ。外法の民よ。我らを許せ。

 お前たちから不死を、あらゆる能力を奪い

殻のような貧弱な肉体で置き去りにした我らを。

 その我らをお前たちは神と崇めていることを知り、嘲笑う浅ましさを。


 外法の民よ。恐れるな。

 この円盤から投下されるのは星開拓用の爆弾を集め、濃縮したもの。

お前たちが痛みを感じることはない。一瞬で終わる。

 

 流刑の星よ。案ずるな。

 お前が消えても奴らは気にも留めないだろう。

 だが、私はお前の輝きを心に刻もう。



 流刑の星を見よ。

 今、その役目を終えるその時を。

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