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雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


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大統領の器

「この度、閣下が大統領に就任されたことを心からお祝い申し上げます」


「うむ、ありがとう。それでここで何をするのかそろそろ教えてもらえるかな? 

前任者に指示された通り、大人しく車に乗せられてここまで来たわけだが

……ここは手術室だろう?」


「ささ、どうぞ、その台の上に横になってください。

説明は処置しながらできますので。

大丈夫、この国の大統領になる者は全員ここに来るのです。

もし嫌なら大統領を辞退なされるということに……」


「ああ、そう脅さなくてもわかったよ。まったく……ふん、どうせ健康チェックだろ? 

自信はあるんだ。やってくれ。しかしなぁ、警備の問題か?

こんな古臭い建物の中じゃなくて一流の病院でやってくれればいいものを」


「はいはい。ではまず薬を投与させていただきます。どうです? 痛みは感じますか」


「いや、特には。おいおい麻酔って一体何を、まあいいか……」


「では頭部を切り開きます。お、いいですね。さすが大統領。立派な脳だ」


「ああ、ありがとう……え、脳?」


「ええ、ではさっそく対宇宙人用の洗脳電波妨害装置を埋め込みます」


「うちゅう、じん?」


「ええ、大国は常に侵略の危険と隣り合わせなのですよ。

……これでよし、では気分抑制装置も取り付けましょう。

これで常に冷静な判断ができます。

やはり国のトップたるもの冷静さは大切ですからね」


「そんなもの……うむ、ありがとう」


「それからNGワード設定もしておきましょう。これで失言を大幅に減らせます。

さらにいかがわしいハンドサイン禁止機能も付けて……と性欲ももう不要ですね。

お歳ですしハニートラップにでもかかったら目も当てられませんから。

ああ、そうだ胸を切り開いてくれ。よし、いいぞ。

防弾プレートは欠かせないですからね。これも埋め込んでおきましょう」


「この、ああ……頼んだぞ」


「あとは咄嗟に動けるように筋肉のリミッターの解除機能と

ストレス緩和装置に……ついでに眼球も変えておきましょう。

カメラ機能があると便利ですからね。

あとは記憶の容量を増設して、必要な記憶をすぐに思い出せるように……と

耳の内側に小型のイヤホンを埋め込んで、指示を出せるように。

喉の通りを良くして肺も人工の物に変えておきましょうか。

随分、タバコをお吸いになってきたようなので。

ついでに植毛と脂肪吸引と皺の除去……。

他に何か必要な機能はありますかね? どうです? 大統領?」


「いや、ないが……。これ……私である必要あるかね?」


「ありますとも。自信をお持ちになってください。

馬鹿を騙……いえ、人を惹きつけるスター性というものが大統領にはありますから。

それに運も。天性のものと言いますか、それらは用意しようにも中々ね……」

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