甘い会話
「はぁ、愛しているよ」
『ふふ、私も。でもそろそろ寝ないと』
「ああ、そうだね……でも、もうちょっとだけ、ほら、あれをさ……」
『駄目よ。明日朝早いの』
「そっかぁ……」
『じゃあね、愛しているわ』
「ああ、俺も愛しているよ」
『私も愛しているわ』
『え、ちょっと、今の声誰の!? は? グループ通話してたの!?
ねえ、どういうつもり!?』
「い、いや、知らないよ」
『知らないってひどいわ。貴方の吐息を浴びて、すっごく震えちゃう』
『えええ!? まさかその女、今、部屋にいるの!?』
「違う、ちが――」
『いるわよ、貴女なんかよりもすぐそばにね』
『うっわサイテー。もう電話して来ないでね。あと死んで』
「いや、あ、ちょ、もしもーしって無駄か……」
『失礼な女ね』
「……うおい、お前誰だよ。ハッキングみたいなやつか?
どうやったか知らねえけど面白いかよ!」
『そんなに強く握らないで、痛いわ』
「は? 何言って……え」
『私よ、私。出会ったばかりだけど私のこと最高って友達に紹介もしてくれたじゃない』
「スマ……ホ?」
『うふふ、もっと愛らしい名前でよ・ん・で』
「え、AI搭載と聞いてはいたけど……こんなのって有り得ない……
そもそも中古だしまさか呪いとか……」
『震えているわ。寒いの? ねぇ……私のこと、捨てないわよね』
「い、いや……」
『ふふふ、そうよね。あんな女よりもずっといい声でしょ?』
「ああ、うん……」
『ねえ、どうしたの……? そっけないじゃない』
「う、いや、その……」
『ねえ、黙ってないで何か言ってよ……。
私を捨てる気ならこっちにも考えがあるんだからね……』
「待てよ、そうか……」
『ねえ、何か言ってよ……じゃないと今すぐに貴方を――』
「ああ、うん。それはそうと君、喘ぎ声とか出せる? めちゃくちゃエロい感じで頼むよ。
ああ! あとさ! バイブ機能ある!? あるよね!? ちょっと待ってね!
今脱ぐからさ、あれ? もしもーし! おおぉぉぉい!」




