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雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


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未知の領域

 未知の領域。

 それは人生を懸けて目指し、解き明かす価値のあるロマンである。

 未知の領域。

 それは言うまでもなく宇宙。そして深海。今だ謎が多く、多くの人間の興味をそそる。

 ……だが、万年資金不足の我が探検隊にとっては、どちらも行くことが非常に困難である。

 そして裏を返せばその二つ以外、もはや人類にとって未知の領域などというものはないと言えてしまう。

 ……しかし、極秘ルートから手に入れたこの衛星写真。そう、普段は厚い雲に覆われた未知の海域。僅かな晴れ間に撮影されたこの写真に写るのは謎の島。行くしかない。冒険家の血が熱くなるというものだ。


「隊長! そろそろですね!」


「ああ、気を引き締めろよ。来る途中に出会った巡視船の船長の話によると、この辺りは事故が多いようだ。ま、だからこそ未知の領域なのだろうが」


「はい! 今のところ船に異常はありません!

でも危なかったですね。賄賂を渡していなかったら捕まっていたかも」


「ふふん、何者も我々の航海を止められはしないのさ。

さぁ、このまま……なんだこの匂いは……甘い……いや、何かが焦げたような」


「いいえ、フルーツですよ! あれ? 焼き魚?」

「ううん、ガソリンでしょう」

「いーや、私のシャンプーの匂いにそっくりね!」

「いや、焦げたプラスチックじゃないか」


 どれとも言い難い匂いに我々は動揺した。島に生える新種の植物の香りなのか、はたまた人肉とろけた巨大な怪物の胃から漂う匂いなのか。そしてそれは今、大口を開けて我々を待っているのではないか。船を引き寄せるこの海流はきっとそれが原因で……。


「あ! 船長! あ、あれは……」


「あ、あ、あ……」


 我々の目の前に姿を現したそれは……人類の罪。

 恐らく、今こうしている間も大きくなり続けているゴミの島だった。


 そして今、我々をその一部にせんとミサイルが……

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