428/705
俺はエリートエージェント
俺はエリートエージェント。自分でそう言うからには根拠がある。
俺はあらゆる犯罪組織に潜入し、成果を上げてきた。
勢いのある窃盗団。
大規模な詐欺組織。
凶悪な麻薬カルテル。
恐ろしい臓器売買のブローカー。
暴力団。
カルト宗教団体。
古参も新進気鋭も関係なく、俺が集めた証拠で全て壊滅させてきた。
そして、気づいた。
俺にはあらゆる悪事のノウハウがあるということを。
目ぼしい奴は潜伏先で引き入れた。おまけに商売敵はいない。
さあ、究極の組織の誕生を祝おう……。
「局長! 新たな組織が! ですが、これは……局長?」
「ああ、すべてわかっていることだ。君も今はまだ黙っていなさい」
「え、ええ、局長がそう仰るなら……ですが、前にも裏切りが……」
「ああ、それでいいんだ」
「局長?」
「それでこそエリートエージェント。悪がいなければ正義は成り立たないんだ。
私もかつては……おっと、喋りすぎたな。
君も気を付けるよな? 喋り過ぎには……」




