表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

421/705

巻き戻し

 ある晩、三人の男がテレビを食い入るように見つめていた。


「どうだ?」


「あ!」


「いたか!?」


「今のところ戻して!」


「この辺か? どうだ」


「……あ、気のせいだったわ」


「おいー!」


 笑い合う三人が見ているのは呪いのビデオ。

はなから信じていなかった。酒の肴。ツッコミを入れつつ楽しんでいたのだ。


「にしても、この母親ブスだなぁ」


「はははっ、子供はどっちにも似てないな不倫か?」


「役者だろ。邦画にありがちな雰囲気の暗い食卓だしな」


「そもそも、なんでカメラ回しているんだって話だよな。

お前らの食事風景なんざ誰も興味ねぇよ」


「あ、おい! 今のところ!」


「なんだ、戻すぞ!」


「……ほら、母親のブラが見えそうに」


「ふざけんなよ! ブス専か!」


「はははははっ……おい! 今のところ戻せ」


「ああ? この辺りか?」


「リモコンかせ!」


「お、おい、まさか本当に……」


「ほーら、醤油を……とれなーい!

とろうとするけど……残念とれなーい!」


「くだらねぇ!」


 三人はまた笑った。


 だが


「いい加減にしろよ」


 三人の笑いがピタリと止まった。


 画面に映る一家が数秒、三人を見つめ

その後何事もなかったかのようにまた食器の音だけがカチャカチャ部屋に響いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ