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雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


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初恋は鉄の香り

 嗚呼、君よ。

 初めて君を目にしたその時から、僕は君の虜になった。

 もし話しかけることができたのなら

膿んだように膨れ上がった僕の心も少し楽になっただろう。

 でも叶わなかった。

 幼すぎる僕は門前払い。

 だから僕は自分を磨いた。

 胸を張って君に会うために。


 ようやくその時が来て、僕は君に会いに行った。

 でも君はそこにいなかった。

 気づけば僕もあの日の僕ではなかった。


 手から落ちた鎖が音を立てた。


 奴隷市場で今日も鴉が笑う。



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