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雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


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喜ぶ天使

 昼休み、会社から出た女は空を見上げた。

午後から雨が降ると聞いていたが快晴だ。

やはり天気予報は当てにならない。

洗濯物を干してくればよかった……と

そんなことを考えていたとき、ふと妙なものが目に付いた。


「てん……し?」


 天使。そう言うしかない白い服、白い翼。

頭には光るリングを浮かべた女性らしき者が空をゆっくり飛びながら

にこやかに地上に向かって手を振っている。

 しかし、誰も気づいていないようだった。

それでも笑顔を崩すことなく手を振り続ける天使を少し不憫に思い

女は天使が自分の方を向いたとき、手を振った。


 ――えっ?


 女の戸惑いは徐々に、そして急速に恐怖へと移り変わる。


 天使が目を見開き、口角を吊り上げ

歯を大きく見せながら猛スピードで近づいてくるのだ。

 女はその迫力に思わず後ずさりした。

 その時だった。


 ――危な


 目前に迫る自転車。

それを何とかかわした女だったが、体勢を崩し、倒れた。

 立ち上がろうと上体を起こす女。

 しかし、天使が狂気じみた笑顔で迫るのが見え、体が凍り付いた。


「危ない! ぶつかるぞ!」


 誰かの叫び声。

 そう、ぶつかる。

 女は天使から顔を背けた。


 そして大きなタイヤが迫るのを目にした。

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