表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

387/705

おじいさんとピノッキオ

 ある日、子供が大好きなおじいさんは

わが子のように可愛がっているピノッキオと共に街へ繰り出しました。


 おじいさんが駅近くの人通りが多い広場で立ち止まると

たちまち人が集まってきました。

それもそのはず。

そのピノッキオは目がくりくりと大きく、鼻は高く、とても可愛らしい男の子なのです。


「この子、操り人形に見えるじゃろ? でもね、実は自分の意志で動くのじゃよ」


 おじいさんがそういうとピノッキオは

ほいほほいっといった調子でコミカルな動きをしました。


「カワイイ!」

「珍しいー!」

「写真とってもいいですか!?」

「握手してもいい?」


 おじいさんは笑顔で頷きます。

女の子たちは大はしゃぎ。

とそこへ・・・・・・


「あのーちょっといいですか?」


 そう声をかけてきたのは複数名の警察官。

おじいさんの顔からスッと笑みが消えます。

警察官はそそくさと立ち去ろうとするおじいさんとキノッピオを囲みました。


「その操り人形を良く見せてもらってもいいですか?」


『僕はピノッキオ! 星の女神さまがお父さんの願いを叶えてくれて

こうして動けるようになったんだ!

それだけじゃないよ! 良い子になったら、人間にしてくれるって!』


「あーいいですから。さ、貸して」


『放して! 放してよ! 触らないで!』


「裏声はやめなさい! ほら! よこして!」


「ああ! ピノッキオー!」


「・・・・・・この目の部分にあるのはカメラですね?

実は盗撮映像がネット上に出回っていまして

その背景からこの辺りのものだと」


 周りにいた女子高生たちがサッとスカートを押さえました。


「署まで・・・・・・あ! 待て!」


 おじいさんはピノッキオを置いて逃げ出しました。

 が、すぐに捕まりました。

盗撮映像を見て毎晩鼻の下を伸ばしていたおじいさんは

ガクリと肩を落とし、糸の切れた操り人形のように動かなくなってしまいましたとさ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ