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雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


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泉の女神

「これでよしと・・・・・・」


 真夜中、男はそう呟き背を向けた。

すると、何やら背後からゴポゴポと音がし、振り返ったその瞬間それは現れた。


「おまええぇぇがあぁ! 落としいぃたのは・・・・・・これかあぁ!」


 突然のことで驚き、腰を抜かした男だったが

その台詞をよく反芻した頭にあることがよぎった。

そしてそれが自然と口をついた。


「あ、あなたはもしや、泉のめ、女神様・・・・・・?」


「まあなぁぁぁ! で、どうなんだよぉ! お前かぁ!?」


 どう答えるべきか男は悩んだ。


 あの手にあるのは確かに俺が投げ込んだものだが・・・・・・。

正直に答えればどうなる?

 確か斧を落とした木こりが正直に自分が落とした斧を言うと

金と銀と・・・・・・落とした斧の三つを貰ったんだったか?

そしてそれを真似しようとした別の奴が確か欲に駆られて・・・・・・。

で、あるならば・・・・・・


「私が落としたのは、えーっともっと綺麗な奴です!」


「・・・・・・はぁああああ!? お前だろおぉ! ?これを落としたのはあああよおおお!

見張ってたんだよぉ私はなぁ。この泉に不法投棄する連中が後を絶たなくてよぉ。

おかげで見ろよ今じゃここは沼! それにぃ、ほら私の姿、ヘドロ塗れだろうぅ?」


「ええ、でも、あの、そう、お美しいですよ!」


「どうやら、てめぇはとんでもねぇ嘘つきみてぇだなぁ・・・・・・。

いいぜ、じゃあてめぇで探してこいよぉ。

この沼にはてめぇみてぇに死体を捨てに来た連中が何人かいたからよぉ。

ほら、遠慮すんなぁぁぁ。無駄だぞぉぉ。

よぉく目見開いて探すんだなぁ。

今言った連中も沈んでいるから見つけにくいとは思うけどなぁ!」


 その沼に沈んだ死体は浮かび上がることはなく、見つかることはない。

時折、その噂が死体を捨てたい者を引きつけ、終わりはこない。

 女神の怒りが収まり、死体を解放するか

人が人を殺すのをやめない限りは・・・・・・

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