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雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


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ジャックとタワーマンション

 現代、タワーマンションの人気は凄まじく、その勢いはとどまるところを知らず、競い合うように次々と建築されています。そして、ついにその高さはとうとう雲を見下ろすほどになりました。

 そのタワーマンションに住むとある少年。彼はこれまでベランダから地上を見下ろすだけで我慢していましたが、両親が留守のこの日、ついに何かいたずらをしようと決めました。

 彼がまず手にしたのは野球のボールでした。これならたとえ見つかっても、どこかの公園から飛んできたと思われるだろうと考えたのです。

 誰かに当たっちゃうかな? それともどこかの家の窓ガラスを破ったりして……。

 ウズウズ、ゾクゾク。少年は想像するだけでは満足できなくなり、思い切ってボールを投げてしまいました。

 ボールが雲の中に消えると、くぅーっ! と快感が押し寄せます。

 もちろん、ボールがどうなったのか、少年が知る由もありません。しかし、だからこそ想像が膨らむというもの。大雨を降らせ、雷を轟かせる神様のように、少年は地上の被害を想像して、ほくそ笑むのでした。

 しかし、まだまだ満たされない少年は、他に何かないかと部屋の中を探します。そして、あれもこれもと手当たり次第にポイポイッと外に向かって投げました。


 これはさすがに……でも……落とす真似だけ……そう、重くて無理かもしれないし……。

 躊躇いつつ、彼がその両腕に抱えて運ぶのは父親のマイボール。そう、ボウリングの玉です。

 少年は台の上に乗り、ベランダの外へそれを……あ! っと思ったのは一瞬のことでした。少年の手からボウリングの玉は離れ、ヒュルルルルと落ちていきました。

 これはさすがに、このマンションから落としたことがわかってしまうでしょう。

 でも、どの階のどの部屋からかはわからないよね? と、少年は自分に言い聞かせます。

 そのときでした。


「ぎ!」


 短い悲鳴が下のほうから聞こえました。


 その後、そのタワーマンションの下で男が死んでいるのが見つかりました。

 それは「ジャック」と警察にあだ名をつけられていた、タワーマンション専門の泥棒でしたとさ。

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