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雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


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357/705

私たち……!

「ちょっと、そこのあんた待ちなさいよ!」

「あ! お、おまえは……」


 とある日の放課後、その女子高校生は坂の上で、男子高校生を後ろから呼び止めた。


「やっぱり、朝の痴漢男ね!」

「だ、だから痴漢じゃねーし! ぶつかっただけだろ……」


「でも、私の胸を触ったじゃない!」

「いや、触ってないってば……」


「てか、あんた。転校生だったとはね」

「ああ、やっぱりその制服、うちの学校のだったか」


「そ、まさか隣のクラスだったとはね。学校では一応気を使って話しかけなかったけど、まだ話はついていないからね!」


「そ、そんな……」


 彼ったら戸惑って、ああ、ほんとかわいい顔してるなぁ。今朝、通学途中にまさか出会い頭にこんなイケメンとぶつかるなんてね。そしてなんと、その彼がうちの学校の転校生だったという王道的展開!

 でも、うちのクラスじゃなくて隣のクラスに入ったのは残念。まあ、さすがに漫画みたいにそう都合よく行かないってことね。

 でも、このチャンスを逃す手はない。そもそも、ぶつかったのだって実は……ふふふ。

 さあ、ここからが大事。責めすぎたらうざがられちゃう。そうね、ケーキで手を打つとか言ってそれで一緒に――


「って、ちょっと! どこに行くのよ!」


「いや、普通に帰るんだけど……」


「待ちなさいっての! この痴漢!」


「だから、違うって、いい加減に、おい! 触るな、うわ」


「あああああああああ!」「あああああああああ!」



 いたた、まさか一緒に階段から転げ落ちるとは……でも、これはこれで親しくなるチャンスかも……。

 いや、こういうときって男が身を挺して守るものでしょ!? 抱きしめたりして、『大丈夫か?』なんて言ってさ! ほら! 私の体が投げ出されて……え?

 

 なんで、私がそこにいるの……?

 え、まさか私たち、入れ替わって、えぇー! そういう展開!? これから私、彼の家で暮らすの!? お風呂とか、えぇー!


 ん、あれ? 私、体が動かない……?


「いてて……おい、おいおいマジかよ……」


 痛っ! 踏まれた! ……って、あれ? え? 彼が私の体に駆け寄って……でも、じゃあ……。


「嘘だろ、息してない……くそっ!」


 あ、あいつ! 逃げた! てか、え、入れ替わったって、え? まさか、そっちと……?

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