表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

344/705

お祓い

 曇りの日。一人の男がとある家を訪れた。


「本日はお越しくださり、ありがとうございます、先生……」


「いえいえ、それで息子さんは?」


「部屋にいます……こっちです……」


 辛気臭い家。それらしい雰囲気だ。


「あの、入るわよ。先生、この子が息子です」


「うむ」


 こいつが例の息子か。母親同様、暗い感じだな。怯えているようだが、まったく馬鹿共はこれだから助かるよ。


「先生、どうでしょうか……? 息子に取り憑いた悪霊を祓っていただけるでしょうか?」


「ええ、大丈夫ですよ。報酬を『払って』いただればね。ふふん、『祓って』と『払って』を掛けてみましたよ」


「息子は……息子は本来、明るい子なんです……」


 無視か。お気に入りのギャグなのに。ブツブツのたまいやがって。あーあ。暗い上に馬鹿だと救いようがないな。こちとらインチキだってのに。そもそも霊なんかいねーんだから、とっとと医者にでも診せればいいのによ。息子も母親同様、霊なんざ信じて勝手に具合悪くなってやがるんだな。それともイカれてるのか? ま、どっちにしろ医者、それも精神科医がお勧めだな。

 ……しかし空気が悪い家だな。ちゃんと掃除をしているのか? 適当に済ませてとっとと帰ろう。変な病気にでもなったら困るからな。

 ま、お祓いしたってんで気分が上向きにでもなれば御の字だろうよ。別に法外な値段とっているわけじゃないんだ。さほど、だがな。


「では、これより始めます。ん?」


 何だ? ガキが何か呟いて……。


「ママ。もうやめて、ママ……」


 あ? 何を言っているんだ? ……こいつの腕にある痣。手で強く握ったような形だ。それも女の……。まさか、取り憑かれて、いや、イカれているのは……。


「ママ!」


「わたしぃぃぃぃのぉぉぉむすこぉぉぉはあああああねぇええええああああああぁぁぁぁ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ