安心してください
ある時、一機の探査船が、その惑星に着陸した。
船から降りた船長と船員は、まずホッと一息ついた。これまでいくつもの星を発見し、現地住民と交流してきたベテランとは言え、今回は特に長い航行だった。それだけに、ハズレを引いていなければいいが、と船長は考えていた。
「……ふむ、酸素濃度も問題ない。素晴らしい惑星だ」
「やりましたね、船長。おや? あれは……」
「現地住民のようだ。二足歩行の姿から判断すると、一定の知能を持っていると考えられるが……一応、すぐに銃を抜けるようにしておけ」
「はい。あ、来ましたよ。あの、大丈夫。僕らは味方ですよ」
「プラパパパパトケイケ」
「船長、彼らはなんて?」
「待て、翻訳装置を……よし、結果が出た。『安心してください。味方です』だ」
「おお、やりましたね! いきなり好感触じゃないですか。皆さーん! 僕らも味方ですよー!」
「ブーュカーッツ」
「クララララオコココココ」
「バンナリンンケ」
「キイイイイイクウウウウウ」
「はっはっは! 歓迎の挨拶かな? ん、船長? なんで腕を引っ張るんですか?」
「いいから来い! 早く!」
「痛い痛い! わかりましたって。でも彼ら、手招きして宴でも開いてくれそうなくらい好感触なのになぜ?」
「翻訳結果が出たんだ! 『安心してください。味方です』とな!」
「それはさっき聞きましたって」
「違う! 奴らはそれぞれ違う星の言語を使っていた! そのすべてが『安心してください。味方です』と出たんだ! つまり、これまでこの星に来た他の連中の言葉を真似て――」
「「「「だいじょ、うぶ、ぼく、ら、はみかた、ですよ」」」」




