呪いのDVD
夜、とある一軒家。和室にあるテレビの前に三人の少年が集まった。
「覚悟はいいか……? じゃあ、再生するぞ……」
「へっ! どうせ大したことないんだろ?」
「そー、そー。ショウタはちょいちょい大げさに言うときがあるよなぁ」
「へへへっ、お前ら、今に吠え面かくぞ……。従兄弟のにーちゃんから貰った、ガチって噂の呪いのDVDだからな。ちなみに俺もまだ見てない。さあいくぞ……よし、再生!」
「……んー。お、あれか? 顔?」
「ほー……」
「へっへっへ。ガチだろう? どうだ、びびったか? あ? え、なんだこれ! こ、この女! 知らないぞ! 俺はこんなの!」
「は? 女? どれだよ?」
「てかショウタお前、その言い草。さては内容知ってたな」
「い、いや、確かにこれは俺が作ったフェイク動画だけど、こんな女知らない!」
「……ぷっ、はははははは!」
「びびってやんのー!」
「実は俺らがその映像にちょっと足しておいたんだよ」
「そ、お前、学校に持ってきてたろ? 今夜これ観にうちに来いよってさ。休み時間に鞄から抜き取ってパソコン室でちょちょいといじって……ん? ショウタ?」
「お、おい。まさか、気絶? おい……う、うわあああああ!」
「なんだその目! やべぇ! と、取り憑かれたのか!?」
「……ぷっ、ははははは! 引っかかったな。カラコンだよカラーコンタクト。用意しておいたんだよ!」
「クッソー! やられたぜ。なあ、コウイチ……お、おい!」
「こ、コウイチ! お前、血が!」
「ゴフッゴフッ! ゴッフふふふふふはははは! 血のりだよ。騙されたな! 隙を見て口に含んでおいたのさ」
「お前、くぅーやるなぁ! でも服が血のり塗れに……お、おいゲンタ! こいつ! 白目剥いて泡吹いてる!」
「まぁどうせ、演技……うお! 小便まで漏らしてるぞ! やばい!」
「あ、あ、あ……はっはっは! ドッキリでしたー!」
「なんだよもー! その小便、お茶か何かか?」
「いや、本物だけど?」
「おい! 俺の家だぞ! ふざけやがって……あ、ああああぁああぁぁあ!」
「どうしたショウタ、おい、おい、やめろよ!」
「あああああぁあ! あああぁ! ああああぁぁぁ!」
「やばいぞ! 壁に頭を! 血が!」
「あああああ! ああぁ! ああっははははは! ドッキリ返しでしたー!」
「おいおい、すごいな、マジかよ! ひひ、ひひひ、ひっひひ!」
「おい! コウイチ! こ、こいつ、自分で自分の爪を剥いで……」
「ひひひひひひ! てってれー! ってね!」
「なんだよまたかよー……う」
「マジか……ってゲンタ! おまえなぁ。口から血のりは二番煎じ」
「違うぞショウタ! ゲンタのやつ、舌を噛み切っている! ほら! 歯から出てる!」
「マジだ! やべえぞ!」
「ふぇっふぇれー! どっふぃりでしたー!」
「うわー! やられたよ!」
「まったくだぜ! あははははは!」
少年たちはゲラゲラ笑った。そして思った。
あれ?
何か変じゃね?
これって俺ら……。
でも、なんだか楽しくってやめられない。
今度は自分の指の骨を折ったらこのふたり、どんな顔するんだろう。
想像すると、ふふふふふふあはははははああああああああああああああああ!




