わたしたちの歴史
わたしたちのご先祖様たちは「未来は一体どうなるんだろう?」って考えたり悩んだりしていたことでしょう。
こうなりました! ワープ・エンジン搭載の定期運航船で惑星間の行き来がかなり楽に。そしてそして、この宇宙船の窓から見える青い星。争いが絶えなかったこの星は平和になり、環境問題など抱えていた問題は全て解決。かつての美しさを取り戻しています。よかったよかった。
さて、ご先祖様が未来を想像するのとは反対に、わたしたちは過去を懐かしみ、思いを馳せます。どんな暮らし? 何があったの?
「さあ、じっくりと見ていこうな」
パパはそう言い、どこか誇らしげに腕を組みながら歩いています。今日は学校の宿題のために、博物館に連れて来てもらったのです。
博物館の中にはたくさんの昔の生き物が透明なケースで展示されています。メモしたいのにパパはぐんぐん進みます。ついていくのが大変です。
……っと、ようやく止まってくれました。お目当ての前に到着したようです。パパの目がキラキラしています。
「ほーら、見てごらん。ご先祖様たちは、かつてこの星でコイツらと戦ったんだ」
パパはさも自分が戦ったかのように誇らしげに語り始めました。正直、教科書に書いてあることなので知っているのですが、わたしは黙って相槌を打つことにしました。
それはそれとして、実物はとても迫力がありました。見開かれた目。大きな口。ううう怖い。野蛮な怪物です。と、なんでしょうか?
「ねえ、パパ。このボタンは?」
「ふふっ、押してごらん」
「うん」
『死ねええええええ!』
わっ! わたしはびっくりして思わず尻餅をつきそうになりました。でも尻尾で支えたから大丈夫でした!
「はっはっは! これはこの生き物の鳴き声さ。何を言っているか全くわからないが何種類もあるぞ。ほら、また押してごらん」
『くそおおおおおぉ!』
『助けてえええぇぇ!』
『いやあああぁぁぁ!』
『逃げろおおお!』
『おかあさあぁぁぁん!』
『宇宙人だああああああ!』
とても恐ろしい声でした。
わたしたちのご先祖様たちはこんな連中と戦い、勝利し、この星を解放したなんて立派だなあと思いました。おわり。




