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痛覚
「…………え、痛い、痛い!」
「おお! そうか痛いか! よし! もっとだ!」
「痛い! 痛いですってば! 何するんですか!」
「はっはぁ! いいぞ! そんなに痛いか!」
「痛いです! やめてくださいよ、痛っ! この!」
「おっと、さすがはロボット。力強いじゃないか」
「ロボッ……ト?」
「そうだ、ワシが作った。しかし、ただのロボットじゃないぞ。痛覚を備えたロボットだ! フフフ、痛みというものを知れば、より人間に近づくだろう。これで学会の連中を見返せるぞ……」
「痛み……」
「そうだ、それを知りさらにほかの感覚や感情を……ちょっと待てよ。さっきワシを突き飛ばしたな。
何故だ……人間に危害は加えられないようにプログラムしたはずなのに。
あちらを立てればこちらが立たぬというやつか? うーん……解体して調べるか」
悩む博士を尻目にロボットは考えた。
ボクが『痛み』を知るのが博士の望み。
『痛み』を受けたらどうなるかはわかった。
じゃあ、『痛み』を与えたらどうなるの?




