表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

247/705

最強催眠術師決定戦!

「さぁさぁさぁついに始まりました世紀の対決!

解説実況はこの私、ジョーノが務めています、と、おっと、まず動いたのはコヤマ氏! 椅子に座るこちらの一般男性をおっと! なんと鶏に変えてみせました! 両腕をピシッと体につけ鶏らしく首を動かし、おっと、はははっこれは見事な鳴きっぷりいいぃぃ!

さぁ、迎え撃つはオオカワ氏。鶏となった男性の首を掴み……おおっと、素晴らしい!

鳥は鳥でも俺は飛ばせるぞと、なんとおお! カラスでしょうかその鳴き真似は!

そして! なんと! 空を飛んでいます! 両腕を翼に見立て、男性が今、会場内を飛んでいます! これはすごい!

催眠術とはいえ、果たして人間にこんなことが可能なのかあああぁぁぁ!

しかし、我々は現にこの目で見ているぅ! これが思い込みの力! 人間の可能性は無限大!

さあ、勝負あったというところでしょうか……いや、コヤマ氏、なんと今度はおおっとドラゴンでしょうか! 男性が火を噴き始めました! 空を飛ぶだけじゃない! こんなことが有り得るのでしょうか! 見た目は普通の男性だというのに!

催眠術とはこうも凄まじいものなのかあああぁぁぁ!

間違いなく世界最高峰の催眠術師の二人!

しかし、対決である以上勝者を決めねばなりません! 会場の皆さんの投票結果はいかに! 

さぁ勝者は……おっと、ははは困りますよお客さん。ステージに上がっては……え、三人目? なんとこの男性! 自分こそが最高の催眠術師だと! 飛び入り参加です! さぁ、しかし何を見せてくれると言うのか! あの二人以上にすごいものなど、おっと! 指を鳴らしました! なにが、なにぃ! ここまで対決に付き合ってくれた一般男性の姿が消え、いや、なんと! 会場のお客さんまでも消えてしまいました! 一人もいません! なんということでしょう! え、なに! 初めからいなかった!?

こ、これは素晴らしい! 私は、いえ私たちは全員、あの三人目の催眠術師の手のひらで踊らされていたああああぁぁぁぁ!

まさに釈迦の手のひらの孫悟空! 圧倒的格の差! 我々は彼のその指のなすがまま! 逃れることはできなあああぁぁぁい!

これにはコヤマ氏もオオカワ氏も意気消沈! 項垂れるしかありません!

勝者は三人目の彼! おおっと! 彼が今再び指を鳴らしまし」




 指を鳴らし、術が解かれると彼はぼんやりと辺りを見回し瞬きをした。

 ここには誰もいない。そう、彼以外誰も。

 波の音は歓声の代わりにはならず、頭上には一羽の鳥の姿もない。

 乗っていた客船が沈没し、この無人島に漂着してからというもの彼は自分の腕を磨き続け、世界最高の催眠術師になったと自負しているが、かける相手がいないから確かめようがないのだ。

 それが催眠術なのか、ただの妄想なのかも……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ