表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

209/705

凹まされた日

 真夜中のとあるバー。そこで一人の男が泣きに泣いていた。


「……ねぇ、いい加減泣き止んだら?」


「でも、でもさ、ママ、ひどいと思わなぃ?」


「はいはい、たかが女に振られたぐらいでそんなに泣かないの。と、言うか店閉めたいからもう出て行ってよ」


「そんなぁ……ママまでひどい……女は身勝手だぁ」


「はいはいはい、水飲んで、さ、さ、お帰りなさい」


「うぅ、ママはないの? 大恋愛の末の失恋……」


「うーん、まぁあるけど……」


「話してよ! そしたら帰るからさーぁ」


「そうねぇ……まあ、いいけど……。

昔、ある男性に恋をしていたの。美しい顔立ちだったわぁ……。

中性的で、それでいて男らしくてね。ただそれ故、何人も女がいたの。

女たちも他の女の存在には薄々感づいていたみたい。

そしてその何人かは彼が自分との関係を終わらせようとしている事にもね。

ある夜、いつものように彼の部屋のベッドで楽しんだわ。

でもね、我慢できなくなっちゃったの。どうしても彼を自分のモノにしたくてね。

だから、彼のアソコがもうこれ以上無いってくらい硬くなった時にバッグに入れていた枝切りバサミを取り出して」


「嘘……」


「……この世のものとは思えないような声を上げたわ。

でもそれはほんの少しの間だけ。だってすぐに気絶したからね。

切られたモノはどうしたか?

悲鳴の中、手から零れ落ちるのが見えたわ。

ふふふっ、血で滑ったのかそれとも出血でペットボトルロケットみたいに少し勢いづいたのね。

ま、それ以来、結局彼のモノは私のモノ。

でもまぁ残念ながら彼とはそれっきりお別れになっちゃったんだけどね」


「え、え? 冗談だよね? はははっ……」


「見る? 保存してあるの。どうしても手放せなくてね。

ん、いいの? ……っと酔いは醒めたようね。タクシーはいる? いらない? あ、また来てねっー……って聞こえてないか。すごい勢いね。

……ただ別れただけならまだマシって話よね。

私みたいに大事なところまで切られずに済んだんだから……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ