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雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


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見下す人

「チッ、もう消えろ……ほら、行けよ。ついてくるな」


「で、でもこの子はあなたの子なのよ……」

「アー」


「はぁ……俺がいつ、ソイツを自分の子だと認めた? 俺は反対したはずだ。でもお前はソイツを産んだ。俺を冷血呼ばわりし、離婚届けを突きつけてまでな」


「でも……」

「ウ」


「俺にとってはソイツは湯船に浮かぶ垢でしかない。ああ、言いすぎか? 臓器はマトモなんだろ? 病院の前でナイフで喉を掻っ切ったらどうだ? 腕の良い医者が獣を解体するように後はいいように活用してくれるだろうよ!」


「そんなに怒鳴らないでよ! 子供の前なのよ!」

「エー」


「声を張り上げなきゃ聞こえないからだろう! 第一、ソイツの脳みそじゃ話の内容なんか理解できないだろう!

いくつ単語を知っている? アー、エー、ウー、三つか? その脳足らず連れて俺の目の前からとっとと消え失せろ!」


 元妻はその場で泣き崩れた。腹立たしい生き物だ。コイツは狂ってる。

 昔、ママが言ってた。頭の悪い連中とつるむと自分の頭も悪くなる。

 事実だろう。夜の公園の側を通ればいくらでも実例を見られる。

 頭の悪そうな声で馬鹿騒ぎ。屑には屑。頭のイカれたガキとその母親。

 いや、そもそもまともなガキじゃないと検査で事前にわかっていながら産むと決めた時点でコイツはイカれてたんだ。離婚して正解だった。

 なのに、金がないのか俺にたかりに来やがって、ああ忌々しい。それにしてもクソうるさい。話し合いを無視してたら、こんな場所でつかまるとは。

 クソッタレの工事め。ポンポンポンポン、馬鹿の一つ覚えみたいにビルなんか建てやがって。

 今、この瞬間も誰かが上から俺を見下ろしているんじゃないかと思うと腹が立ってしょうがない。

 ああクソが……それにしてもコイツ、見れば見るほどイライラする。涎垂らしてやがる。その顔が少し俺と似てるのがおぞましい。

嫌になるぜ。大体、さっきからずっとどこ見てやが――



「……あ、え、い、いやああああ! あなたああああぁぁぁぁ!」


「ウ、エー」

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