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雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


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なんだか……

 長閑な昼下がり、俺は馴染みの喫茶店でコーヒーを嗜む。この時間が至福――

 

 だったのだが突如勢いよく開けられたドア。そこから転がるように入ってきた女性が俺の元へ駆け寄る。


「私はヒロイン! 名前はどうでもいい!」


 そして熱烈な口づけ。その瞬間、窓をぶち破り入ってきた黒スーツにサングラスの男。


「俺はお前の仲間だ。しかし実は黒幕だ! 死ねい!」


 銃を乱射する男。俺と女性はテーブルを盾にして何とか店の外に逃れる。


「あ、あれ!」


 女性が指差すのはミサイル。

 こちらに向かってきている。


「さぁ、貴方もこのミサイルに乗ってあれを撃墜して!

誘導装置が壊れて、手動で操作するしかないの! 死ぬけど覚悟決めて!」


 俺はどこからか用意されていた発射装置に取り付けられたミサイルに跨る。

 その時、さっきの男が店を爆破した後、こっちに向かってきたがヒロインが眉間に銃弾を一発お見舞いした。

 何か決め台詞を言っていたような気がするが早口すぎて『ティキャキャー』としか聞こえなかった。

 路上に停められていた車が何故か爆発し始める中、無事、ミサイルは発射され、俺はこの街を救った。

 そしてエンディング。





「どうでしたか、主演作のご感想は?」


「いや、どうって言われても……」


 世の中に娯楽が溢れ何でも早く、省略、とにかく迅速が好まれるこの時代。

 一時間から二時間の映画をわずか五分に収めたファスト映画なるものが一時期流行り、著作権等で揉めた事もあった。

 しかし、皆が求めるならと作られたこのスーパーファスト映画。確かに、凝縮しただけあって一つ一つのシーンに金が掛けられ、迫力はあるが……冒頭の、コーヒーを飲もうとするシーンが俺の頭をよぎる。


「なんだか味気ない……」

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