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雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


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正解は?

【具合大丈夫? お見舞いに行こうか?】


【平気だよ。うつしたくないから気にし_


『ホントにそれでいいのぉ?』


 彼は横目でテレビを見た。今やっているのはクイズ番組だ。イヤらしい顔をした司会者兼出題者が言葉巧みに解答者の心を揺さぶる。


「ふっ、いいんだよこれで」


 そう呟き、彼は携帯電話に届いた彼女からのメッセージに返事を打つ。


【でも心配だなぁ】


【大丈夫、大丈夫】


 来て貰っては困るからだ。目を閉じ、耳を澄まして聴こえるのはシャワーの音。今、浴びているのは男ではない。それに友人でもない。


『つまりぃ?』


「浮気相手」


『正解! さぁ次の問題です』


【もう来ちゃった】


「えっ」


『さぁライフラインは使い切りました』


「まずい、か」


 ――ピンポーン


 チャイムの音が鳴った。


『さぁ、どうします?』


 ――ピンポーンピンポーンピンポーン


「ば、バレてんのか?」


『さぁ、それはどうでしょう?』


 ――ピンポーンピンポーンピンピンピンポーンピピンポーン


「もう、開けるしか……」


『本当にそれで、いいんですね?』


 ――ピピピピンピンピンポーピンピピピピピ


 ドアノブに伸ばす手。


『ファイナルアンサー?』


 彼はそれをピタッと止めた。


「あーミキちゃん!」

「ショウくん?」


「ソウタのやつさぁなんかノロウィルスだっけ? それっぽくて入るのはやめたほうがいいよ」

「え、そうなの? でもなんで知らせてくれなかったんだろ……?」


「あーなんか、腹下してるって知られるのが恥ずかしいみたいな。まぁ俺、バラしちゃったけどね」

「なーんだ。そっかそっか」


 良かった、持つべきものは近くに住む友だな。アイツに連絡しておいて正解だった。

 彼はそう、ほくそ笑んだ。


『ざあああああああんねええん! 正解ならず!』


「えっ?」


「じゃあ、ちょっと飯でも行こうか」

「うん!」


 耳を当てたドアの向こう。楽しげな声。アパートの階段を下りていく音が聞こえる。

 たった今、胸に抱いた不安。ドアを開けてすぐに追いかけるべきか。全てを正直に話し、謝り倒し……。

 彼は縋るような気持ちでテレビに目を向けたが番組はエンディングを迎え、コマーシャルに切り替わった。

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