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雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


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巨大な何かに摘まれるあの感覚

 今年から雨、晴れ、曇り、雪、雷といった天気に『透明な巨人』が加わりました。訳のわからない話ですがそういう他ありません。

 ある日突然、一人の人間がまるで巨人に摘まれるように空に上がっていったのです。そしてマンション六階ほどの高さになるとその人は摘んだ塩をお肉に振り掛けるようにパラパラと磨り潰されてしまったのです。そしてそれは地表に降り注ぎました。

 こう言えば新たに加える天気の名称は『血と骨と肉片』のような気もしますが、警戒すべきは降ってくるものよりも『透明な巨人』です。


 なぜ巨人? そう疑問に思うでしょう。それはお空に昇っていく人が決まって言うのです。「何かに摘まれている!」と。

 実際にニュース映像で見るとそのような印象を受けます。透明な巨人が親指と人差し指で摘んでいる、それが一番しっくり来る表現だったのです。『透明な巨人』と言ってもそこに実体があるわけではないので、手の打ちようがありませんでした。

 さて、大変なのはこれがこの国だけでなく世界各国で起きたということ。

 宇宙人の侵略? 超常現象? 異なる次元の干渉? 原因究明に力を注ぎます……が、何もわからず。

 いえ、二つだけわかったことがありました。暑い日に起きるという事。そして人間にだけ起こるということ。ペットを飼っている人は安心ですね。だからと言って、気兼ねなく犬の散歩に繰り出す人はいないでしょうけど。

 みんな、怯えながら外に出ています。ずーっと家に居るわけにはいかないのです。いつどこで起こるかわからないのがつらいところです。


 とは言うものの、私は冷房が効いたお家で団扇を仰ぎ、涼んでいました。家でできる仕事で良かったです。

 が、今私は仕事そっちのけで窓の外の空を見て、ただぼんやりしています。

 透明な巨人。熱が出たときにそのような夢を見るなぁと考えていました。巨大なものに押しつぶされたり、あるいは上に乗ったり。自分が蟻のような気持ちになるのです。それはとても不安なことです。だって簡単に潰されてしまうじゃありませんか。


 ……もしかして誰かが夢を見ていたりして。

 巨大な何か……そう、地球。

 何なら全て、そう私の存在も……。

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