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雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


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155/705

観測

 道を歩く可憐な少女。この後、彼女に悲劇が訪れることはまだ誰も予想もしていない。

 そう、その背中を……。


 ……その背中を見つめるこの男以外は。

 この男がこの後、あの少女を路地裏に引きずり込み、持っているそのナイフで残虐に! 非道に! 少女をズタスタに切り裂き! そして……。


「ああああああ!」


 男が突然叫び声をあげた。

 驚いた少女が振り向く。

 そう、この男は正気を失っている。無精髭に、こけた頬。髪を掻き毟り爪の間には血と皮膚片が入り込んでいる。そして血走った目でキョロキョロと辺りを見回し視点が定まっていない。

 さっきもそうだ。少女のその背中を見つめていたと思ったら何かを探すように視線を動かす。

 けれどもやはり、獣。その少女のことを執拗に獲物を見る目で――


「おま、おまえおまえだおまえだな!」


 男は見つけたとばかりにあらぬほうを向き、指差した。唾を飛ばし、怒りと狂喜が入り混じった表情を浮かべている。


「そうだよ、おま、おおおお前を指差しているんだ。見つけた見つけたぞ!」


 少女はその常軌を逸した様子に怯え、走り出した。男はその背中を追いかけ――


「追わないぞ、お前だろう。おお、お前の声がずっと聞こえているんだ。

何日も前から異常者だ殺人を行うだのそそそそう、俺があの少女を殺すってな」


 男がニヤリと笑う。


「ああ、そうだ笑ったぞ。俺が少女を殺すって? 

お前だお前を殺してやるイカれた異常者めそっちそっちに今から行ってやるからな

ああそうだ俺を見ているおまえもおまえもおまえもおまえも殺してやる」



 男はそう言うと……

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