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雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


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よく確認を

 空で雷が枝分かれするような激しい頭痛がしていた。

 コンビニに立ち寄り、飲み物と冷却シートと適当に選んだパンをカゴの中に放り込む。

 レジ台に乗せる。ただこれだけの作業なのに仕事終わりとはいえ、息切れした。

 カゴを見下ろし、冷却シートを入れたのは英断だったと密かに自分を褒める。

 きっとこの後、熱が出る。しかしピザパンはよくなかった。明日の朝用に買ったものだがもっとさっぱりしたのがいい気がしてきた。でも今更戻る気も――


「ラライウララエラ?」


「はい?」


「ダガリオオジョジュブ?」


 ……聞き取れない。私が疲れているのか、店員の滑舌が悪いのか、その両方か。

 外国人かな? ネームプレートは……見当たらない。まあ、どうでもいい。ポイントカード云々だろう。あ、でもビニール袋は欲しい……まぁいいか。鞄に入るだろう。


「サササヒジョジョコロ?」


「はいはい」


 なんでもいい。早く帰りたい。ああ、まただ。頭に亀裂が入ったような痛みがする。何ならもうお釣りもいらない。

 早く……と、カウンターに置いた千円札の肖像と目が合った。

 どうして受け取らない。足りるはずだけど。何をモタモタしている……ああ……喉に強い痛みが。やっぱり風邪ね。咳払いを――


 瞬間、咽返り、プールで溺れた時の記憶が頭の中にパッと蘇った。

 喉の上に当てた手が濡れている。

 汗? いや。

 

 血。


 なんで。


「ホホイオコノニ?」


「は」


 口から漏れ出る血が私の言葉を遮る。何故か頭痛が引いたので、私は耳に神経を集中させた。


「きき切ってもよかったんんんですよね? ね?」


 足から力が抜け、立っていられなくなった。倒れた勢いで流れ出た血が跳ねるのが見えた。


「誰だお前!」


 揉める声。本物の店員とあの男だろうか。でも、もうどうでもいい。頭痛も、力も、何もかも体から消えていった。

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