夏休みの最後、片思いに囚われる
◆◇ 8月29日
寝ようとしてたら幼馴染の祐介からメッセが来た。
ピロリン♪
―好き
『送る相手間違えてるよ』
―ミィが好き
『きさま彼女いるでしょ』
―そうだっけ?
『昨日会った時うれしそうに報告してきたじゃん』
―それでもミィが好き
なんだこれ。
なんだこれなんだこれ。
『彼女さんとうまくいってないの?』
―いまさら気付いちゃったんだよね
―俺が本当に好きなのはミィだってことに
―幼馴染だったから気付くのに時間がかかったんだ
―ふたりの距離が近すぎて
ピロリン♪ピロリン♪
ドラマみたいなメッセージが矢継ぎ早に届く。
『ちょっと考えさせて』
どうしようドキドキする。
◆◇ 8月30日
夕食後、部屋で読書をしていたら祐介からメッセが来た。
ピロリン♪
―やばいよ宿題全然おわんねーよ
『こつこつやらないのが本当にもう、まるで成長していない』
―気持ち的にまだ8月上旬くらいなんだよ
『わかる、夏休みすぐ終わっちゃうよね』
―マジですぐ終わるよな、でも最後の方はいい夏休みだった
『どのあたりがよかったの?』
―ミィとこうしてメッセしてる時間が一番楽しいよ
ふーん……
『いまから会わない?』
―ごめん今日はダメなんだ
『つまんない』
―しょうがないだろ
『キライになっちゃうぞ』
―8月31日が終わったら、いくらでも会えるよ
『楽しみにしてるね』
9月が楽しみ。
◆◇ 8月31日
夏休み最後の日、散歩してたら祐介を見かけた。
夕焼けの公園で、彼女さんとふたりでベンチに座っていた。
ふつーに二股してんじゃんアンニャロウ。
大股で急接近。
私「ねぇ!」
祐介「あっ、ミィじゃん!やっほ〜」
彼女さんとふたりして、少し気恥ずかしそうに手を振ってくる。
隣のクラスの美人の子。
あの真っ直ぐな性格の祐介が、ちっとも悪びれる様子なんてなくて。
血の気が引いた。確信した。
祐介は私とのメッセのことなんて知らない…。
逃げるように走った。
きっと変なやつだって思われたけどどうでもいい。
二人が座るベンチを遠くに見ながら、祐介にメッセを送る。
『いま、なにしてるの?』
―宿題に追い込みかけてる!終わらなくてやばい
『そう』
私が祐介とメッセしてる間、
祐介はスマホに一度も触らなかった。
夕暮れの中、ベンチに座ったふたつの影が重なっていく。
いまあそこで、私じゃない人にキスしてるのは誰なのだろう。
私がメッセしてる相手は何なのだろう。
ピロリン♪
―ねえ、俺のこと、好き?
…
『うん、だいすきだよ』
ゆっくりと目を閉じる。
◆◇ 8月32日
………
……
…
〜終〜




