表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/150

第80話 アラタの過去⑧

 駆け出す。



 壁を蹴り、上へ昇る。



 高い天井を生かして逃げ道を作っていく。



 平面機動であの魔法反射を無力化することは難しい。



 なら、立体的な動作で、疾く動くことで眼で追えなくする。



(おそらく……あの眼が問題だ)



 化け物の顔、白磁の面からぽつぽつと瞬きされる無数の眼。



 アレに睨まれている間は魔法の反射が効いている。



 しかも、俺の魔法は読まれているだろう。



 小手先の技は通用しない……なら純粋な肉体強化で勝負をかける!



 放棄した雷装陣が、化け物だけを照らしている。



 壁に取り付けられた錆びかけの燭台に足を引っ掛けて、俺を見失いきょろきょろと見回している奴に狙いを定めた。



 再び声が響く。



「あー君」



 化け物の動きが僅かに止まった。



(喰らえッ!!)



 速度を高めた細い雷を飛ばす。



 化け物の直上でそれは弾け、奴の全身に碧色の輝きが奔った。



「うぅ゛ヴウ……!!」



 白磁の面が軋む。



 同時に、奴の背中からも先ほど見た臍あたりの光を認めた。



「やっぱりソコか……マリィの万理印(パレット)…!」



 印章士(アーキテクト)は、万理印がなければ印章術を使えない。



 つまり、どんな姿になっていようとも。



 マリィの魔法が使えるなら万理印があるはずで、ソレを由来にして魔法は行使されているはずだ。



 目の前の異形が、マリィの印章術によって現れたモノだと言うのなら。



 化け物の臍に取り込まれた万理印に最大出力をぶち込めば……この化け物は消える────────!!



 そしてもう一つ、半ば確信に変わりつつあることがある。



 唸った異形を認めて、間髪入れずに脚を加速させた。



 捉えられないよう壁を何度も行き来しながら急降下する。



 あれは、本当にマリィかもしれない。



 俺の小手先の技が通用しないことや、見間違うはずのないマリィの印章術。



 印章術は組んだ本人にしか使えないことを考えても、マリィ本人が変化させられている可能性は、高い。



 そして……あの化け物は、俺を呼ぶ声を発するときは決まって攻撃や魔法が飛んでこない。



 完全にシャーロットが操ることができているのなら、攻撃と同時に声で俺を揺さぶることだってできるはずだ。



 もしかしたら。



 あの声は俺を揺さぶるモノではなく────────



 怪物の懐に、一気に間合いを詰めた。



 体表は雷槍の毒性を帯びてうっすらと焦げている。



「あー君」



 間近で聞く声。



 腹の奥がキュッとする。



 同時。



 奴の臍、一点の光が浮かんだ。



「そこだッ!!」



 待ってろマリィ。すぐに助ける。



 その為にも先ずは、利用されちまってる万理印に最大負荷をかけて破壊するッ!



 少し痛いが我慢しろよ────────!!!!




 床を強く蹴り、同時に一本の太い槍を抜く。



 化け物の脚元に蠢く触手が俺の身体に巻きつくのを意に介さず、俺はその槍を光った一点に向けて突き刺した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ