第78話 アラタの過去⑥
「お前か……お前がやりやがったんだな!!!
"ソレ"がマリィだって言うのならッ!!
戻せよ! 返せよマリィをォッッッ!!!!」
万理印の鍵で頭上の空を薙ぐ。
切れ目から溢れた8本の槍が自身を囲うように突き立った。
八式雷槍陣────限られた空間の中で多数の敵を相手にする際に用いる構え。
師匠はコレを自身の周囲1キロに渡って行うが……今は俺の軽量版の方が丁度いい。
直径15メートル程度の円形の空間、天井ははるかに高くそれなりに広い。
が、あくまで室内。
飛んでくる攻撃は限られている。
同時に、槍を一本早撃ちする。
狙うは、あのシャーロットとか名乗ったわけのわからない女だ。
アイツが術者だと言うのなら、それを倒せばマリィだって治るかもしれない。
いやそもそも、マリィである確証だってないんだ。
奴を倒して話を聞く……それが今すべきことのはず!
半ば憎しみ混じりの槍が放たれ、彼女に突き刺さる……その直前。
ピタリ、と槍が止まる。
「!?」
「ア…ぁァ」
化け物の白磁の面から目がパチリ、と開かれる。
その眼光が槍を見つめた瞬間、雷が真逆の方角────こちらに向かってとてつもない速度で飛んだ。
「ッ」
八式陣の槍を一本手に取り、回転させて盾を作る。
いなした雷槍は壁に突き刺さった。
「これは……マリィの術か?!」
マリィの印章術、瀑流城塞。
あらゆる魔法を受け止め、自身のマナで加速して跳ね返す絶対防御圏。
でもおかしい。
その魔法は、他者を守るようなものではなく────
「自身に向かって来たものしか返せないはず、でしょう?」
「! お前────」
「当然よ。だって彼女は進化したから。
それが、熾天化の力だもの」
化け物に守られながら、シャーロットがくつくつと嗤った。




