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第75話 アラタの過去③



〇〇〇〇



熾天化(セラフィマイズ)?」



「そう! この前大規模調査が行われたジプサー峡谷の中で見つけたんだよ!


 そうしたらね、閣下が私にプロジェクトを任せてくれたの!」



 キラキラした笑顔でマリィが答える。



 ジプサー峡谷っていうと……この前ミミヤキッカの斥候魔法部隊とぶつかって陣を敷いたばかりのところだ。



 そのまま国境になっている場所だから深部の遺跡利権が複雑化していて、お互いがスパイを送り合っている。



 要は、暗黙の了解で小競り合いが行われているわけで。



「凄いな……大手柄じゃねぇか! よかったなマリィ」



「うん! 2人が峡谷を占領してくれたお陰だよ……ほんとうに、ありがとう」



「いやぁ、俺は別に……」



「俺達は、特務だからそれを遂行しただけ。


 お前の努力が認められたんだよマリィ。


 これでチロット家も安泰だろう……その荷もかなり軽くなるはずだ」



 優しい声でエリクが言う。



 先日2人に助けられてから、俺たちは年が近いこともあってよく一緒に行動したり任務をこなしたりと、親しい間柄になっていた。



 そこでわかった事だが、マリィのチロット家は決して大きい家じゃない。



 中でも、マリィは運動能力が高いわけでなくて……過去に起こしてしまった魔法事故で極化回路を患っている。



 マリィはその分を自分の魔法研究や練り上げた印章術で見返してきた。



 だから俺たちにとっても、マリィに重要な任務を任されるのは嬉しかったんだ。



「えへへ……2人とも、ほんっと優しいんだぁ。


 一緒の真章騎士にこんな仲間ができたのは、私の人生でもきっと1番の豪運だよ。


 ……と! それもそうなんだけど、あー君!


 キミや私の極化回路は実は治せるかもしれないんだ。その熾天化って奴でね」



「何!?」



「そんな事が可能なのか……?!」



「うん。なんでも、術者の魔法を進化させるらしいの。


 旧文明の技術そのままだから、きっと解析するのに時間がかかると思う。


 だから2人にも協力してほしいんだけど……お願い」



 答えは、決まっていた。



「勿論だ。


 お前の研究が成功すれば、俺たちみたいな奴がもっと魔法に身近になれる。


 印章騎士の特権階級思想も緩くなるはずだ……力になるさ!」



「無論だな……それに、このままアラタが負け越しているのも、流石に飽きてきた」



「んだと!? なんならまた闘るか……次は負けねぇぞ」



「フ……小手先がどこまで通用するかな」



「小手先と思うなら、それでもいいがな……」



「ほう……?」



「も〜、2人とも脳筋なんだぁ!」



「「誰が脳筋だ!」」



 マリィが笑う。



 俺も、エリクも釣られて笑った。









 そして、あの日が来た。

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