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第74話 アラタの過去②

────真章騎士になりたての……そう、俺が17歳の頃だ。



〇〇〇〇



「あ、起きた?」



 暗闇が溶け視界が徐々に広がる中で、カラッとした声が響いた。



 その優しい声と周囲にふわりと香る煮込み料理らしき匂いが意識を覚醒させる。



「……っ、ここは!?」



 急いで身体を起こした俺に、驚いたのが2人いた。



 1人は鍋の前に立つ少女、もう1人が俺のベッドから少し離れた椅子に腰掛ける少年。



 どちらも、俺と歳はそう変わらなさそうだった。



「そう慌てるな、アラタ・カムイ。


 俺たちはお前を殺す必要なんてない」



「!」



「もうエリー君、説明が足りないって。


 私たちさ、貴方と一緒なの。


 第六位真章騎士パラディン・ザ・シックス、マリエッテ・チロット! で、そっちの仏頂面が────」



「誰が仏頂面だ。


 ……第十二位(ザ・トゥエルブ)のエリク・パシクル。


 お前の師────シンラ殿の事は聞いている。同時に、最近手柄を急いで働きすぎている新入りがいるともな」



「そ、そうか……」



「分かるよ〜。真章騎士って、なりたての頃が一番狙われるからね。


 私も辛かったなぁ……」



瀑流城塞(お前の魔法)で狙われるもクソもあるか……」



「あ、酷いね!?


 か弱い乙女でしょ〜もっと優しく言って欲しいんだケド!」



「……随分、仲が良いんだな。


 もっと真章騎士って殺伐としてるのかと」



「そりゃ他の人は割とそうだよ。


 でも、私たちは縁戚だからね。幼馴染って奴だ」



「で、このお人好しがお前を連れてきたんだ。


 覚えてるか知らんが、お前は魔法犯罪者の巣窟に単身突っ込んで、制圧して、誘拐されていた子供を抱えたまま意識不明になったんだよ」



「お、おぼえてない…」



 全く記憶になかった。



 完全に不覚をとった…恐らくマナもガス欠だったんだろう、予想以上に敵が多かったイメージだけがぼんやりと残っている。



「だろうな。


 子供は無傷だったが、倒れては意味がない。


 他の印章士なら、お前を殺して手柄を立てているところだ……才能に任せた乱暴な戦い方では────」



「才能なんてない。


 俺は…極化回路だからな」



「な……」



「え!? 何々極化回路なの!?」



 食い付いたのは、マリエッテだった。



「そ、そうだけど……」



「それは好都合だね!うん!


 私もね、極化回路(キミとおんなじ)なの!


 それでそれで、極化回路を治すための研究をしてるんだ。


 ぜひ協力して!実験台になって! お願い〜〜っっ!!」



「え、えぇ!? 実験台って……」



「余計なことを言ったな。


 そうなったマリィは中々気が変わらんぞ」



「おいおい、そりゃあ──」



「だめ? こんなに助けてあげたのに? お世話したのに? 料理も作ってこれから食べるところなのに〜〜!?」



「う…わ、わかったわかった!


 少しくらいなら協力する。


 そう詰め寄らないでくれよ……えーと」



「マリィで良いよ。


 よろしくね、あー君!」



「あー君…って」



「アラタ、だからだろ」



「いやそりゃ分かるけど!」



 身寄りがなく、師匠に引き取られて生きる為に魔法を勉強させられた俺にとって、2人の雰囲気はどこか新鮮だった。



 なんというか、余裕があるって言うか……兎に角、落ち着いた。



 これが、2人との最初の出会いだった。

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