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赤翼物語  作者: ヤタガラス
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格納庫、そして異常

余談ですけどこの星の住民はファンタジーみたいな人種も居ます。

「訓練結果を聴きに来ました!」

訓練の確認の為に使われていた第四レーダー室に入りながら敬礼をしながら教官に挨拶をした。

「やっと来たか、採点は終わってるからさっさと報告するぞ」

「はいっ!」

「まず結果だけで言えばC-だ、だが状況判断や空間把握、火器制御はよい方だ。これは星に居たときの軍事訓練の賜物だろう。」

想定外の評価をされ多少困惑したが構わず聞く態勢になった。

「流石に精鋭の機体三機に旧式の機体単機じゃ上手くいかないと思っていたがな」

「いくら訓練でもあれは酷くないですか?」

「俺は訓練生が相手なら大将すら厳しくする男だ、それに実戦では何が起きるか分からん。これから兵士になる奴を中途半端な訓練のせいで死なせたくないからな」


確か教官は前線帰りのパイロットで部下思いで信頼が厚く別の上官からの命令で後ろで教官になる事になったらしい。

「と、言うわけだ。成績は悪かったがまだ先がある、そのまま訓練を積めば戦場では簡単には死なんだろうな」

「はぁ…」

まぁ先があると言われたから前向きにやるか



「結果どうだったか?」

さっき格納庫で話していた知人がニヤニヤした顔をしながら聞いてきた。

「Cだったよ、お前はなんだったんだよ」

ほんの少しだけ見栄を張ったが大した差はないだろ、そう思いたい。

「B+だ今回は俺の勝ちだな!」

「なんだとぉ!!」

「まぁお前より厳しく無かったし動きも悪くなかっだんしゃね?」

「それでも友人に煽られながらじゃ嬉しく無いわ!」

「はっはっはっ!次は遅刻すんなよ」

「わかったよ。次は負けねぇからな」

と雑談しながら、俺とエドガーは格納庫へ向かった。

「お、遅刻した上惨敗した人だ」

格納庫に来たら早々に整備士見習いであるエミリーに煽られた。

「うっせぇ!大体他の奴らは一対一だったろ!」

「まぁねー、それとあんたの訓練用の機体。かなり酷い状況だからしばらくはあのままよ。何せ演習で大破した人多かったもの、部品が足らないのよ」

「まじかよ」

「ドンマイだな」

「エドガーあんたの機体も腕周りのパーツにガタがきてるからしばらくは修理出来ないよ」

「うっそだろ」

「ドンマイ!」

にこやかにエドガーの肩に手を置き言った。

「まぁどうしても訓練したいなら旧式のARがあるからそれでやりな」

「確かディラウザーだっよな。めっちゃ操縦ムズい」

「昔はあれが主力だったらしいな」

「それが数年で可変機や長距離探査機まで出来たからね、技術の進歩は計り知れないわ」

エミリーが頷きながら言った。数年も続いた大陸戦争。惑星の人種差別者である純血主義者達が始めた戦争で純血主義者が多くいたアメリア合衆国が多数の亜人を国内に滞在しているリベント公国に宣戦布告から始まり次第にアメリアの同盟国やリベントの同盟国が交わり三度目となる世界大戦が始まってしまった。結果はリベント公国がアメリアの首都イーストランドに次元消却兵器を撃ち込み終戦した。

俺達は終戦間際に産まれた世代で戦争真っ只中で居たわけではないし中にはエミリーみたいに宇宙のコロニーで産まれた奴もいる。

「で、あんた達はこの後はどうするの?」

「俺は自室に戻って音楽やら動画を見ますかね。リュウジは?」

「俺はあの演習が悔しかったからな、しばらくはシミュレーターでも使うよ」

「消灯時間過ぎまでやって教官に怒られるなよ、明日は非番だとは言え俺らは訓練生で星を守る為の軍隊だからな」

「分かってるよ」

釘刺されちまった…自室のpcじゃ大した練習出来ないしどうするか。


しばらくして。

「ん?エミリー!この機体はなんだ?見かけない奴だが」

「あぁ、それ軍のお偉いさんが持ってきて置きっぱなしになってたのよね。実戦演習があってドタバタしちゃって、バンカーに入れられてないのよね」

その機体は軍採用の機体とは思えない程真っ赤な機体だった。

「動かせるならバンカーに入れとこうか?」

「うんやぁ、他の人も動かそうとしたらしいけど電子妖精が拒否するし操縦システムが反応しないらしいのよ」

「…それ軍用機としてどうなんだよ」

電子妖精が機械を拒否するって相当だぞ。

「じゃ、ディラウザーで持ち上げてバンカーに直接はめるか」

「ディラウザーの出力で足りる?」

「サイズはデルタとそう変わらないし重量もそこまで変わらないだろ」

デルタは全長15m重量56t、ディラウザーは全長16m重量62tだ。ディラウザーは古い機体だが戦時中は戦線を引いた後も機体回収用や土木用に使われたりとパワーはあるから大丈夫なはずだ。

俺は早速ディラウザーに入り込み起動し赤い機体を動かそうとした。だが突然緊急時にしかならないハズのサイレンが基地全体に鳴り響いた。

『各員に通達、アンノウンの中規模艦隊の進行が確認された。繰り返す、アンノウンの中規模艦隊の進行が確認された。各正規軍は迎撃の準備を、訓練生は各自安静し上位生徒は戦闘に参加せよ。これは訓練では無い、これは戦闘だ!』

「アンノウンがこの宙域まで進行してるなんて…」

「エミリー、パイロットスーツは何処にある?」

「持ってくるよ、あんたはさっさと機体の準備をしときな!」

「ありがとう!さて…」

ディラウザーはデルタとは勝手が違うからな。まず使っている動力が別物だし駆動系やセンサーも癖も全部違う。まぁ慣れているけど。

燃料電池を起こす為に予備バッテリーを起動してOSを立ち上げ、燃料電池を起動。機体の各部状況を確認してレバーを動かしハッチを開けながら使う武装を探していたら。

「はい、パイロットスーツ。あんたのを取ってくるのには時間が無かったから教導用の奴だけど大丈夫だよね?」

「昔から使っているから大丈夫。もうすぐ出るから早く避難した方がいいぞ」

「そうする、死なないでね」

「まさかぁ!まだまだやりたい事が残ってるんだ、死ねますかよ。ん?」

ヘルメットに通信が入ってきた。

『お、もう準備してたのか』

「そこの赤いのをバンカーに移そうとしたらいきなりなったんだよ、エドガーお前こそ遅いぞ」

『パイロットスーツを探していたんだよ、ちゃんと管理しとけばよかったよ』

「俺はもう行くからな」

『おう、先に落ちるんじゃねぇぞ』

「お前も出落ちなんかするなよ」

『言ってくれるなぁ!』

俺達は下らない会話をしながら基地から出撃した。


AR-4ディラウザー、バリエーションを含めた生産数は6,500機程。因みにデルタは後継機を含めないバリエーション含めて24,000機程。

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