ロリウィッチ、グリーンドラゴンに会う
「怪人でも無いのに、耐えるなんて生意気じゃねーの?」
既に陽が落ちて闇に包まれた森の中、魔力の放電で辺りを照らしながらオレ様は笑う。
髪の毛もそうだが、多分瞳も光っているオレ様超イカすだぜっ!
犬っころの後は鬼、鬼の後は巨大な蜥蜴だ。
見た事ねぇ鬼を見て、オレ様はビッグオッパイの異世界という単語がチラリと浮かんだが。
まぁ、実験体の末路だろうと既に納得している。
それよりも、鬼の後に出た蜥蜴、此奴は中々強い。
外形は深緑の鱗なんだが、恐らく並みの合金が目じゃねぇ硬さを誇る。
オレ様の超振動ブレードを受けて、小さな傷しかつかねぇし。
電気ショックは何発か当ててもひるまねぇし。
「グルルッ……」
今までの獣と違って、オレ様を餌ではなく敵と見てんのか適度に距離を取って立ち回ってやがる。
背後のセブンスターの所為で動き回れないのがバレてら、マジでめんどくセーッ!
早よ起きろォッ!
「蜥蜴の癖に、しゃらくせェッ!」
オレ様はちょっと強めの電撃を放つが少し怯んだだけだ、マァその間に砂鉄を極太の槍にして超回転させてるんだかなァァッ!
オレ様と蜥蜴の視線が交差する、奴は大口を開き……なんだ?
高エネルギー反応?
オレ様は、自分のミスに気がついた。
糞ムカつくが、魔力をケチって倒せる相手じゃ無かったのだ。
回避不能な現状、レールガン擬きでは無く、現在の魔力全部込めた最大火力の雷撃を放つべきだったのだ。
「……クソが」
奴の特大の息吹きに、オレ様が放った槍は一種で崩壊し、光に飲まれて塵となる。
視認できる程の高密度なエネルギーの光、恐らくオレ様の攻撃で相殺する事は間に合わない。
後ろにはセブンスターがいるが、見捨てる方が得策だろう。
オレ様は、自分が一番可愛いからな、あばよ。
安藤さん。
光が夜の闇を染め上げる。
☆
グリーンドラゴン。
人間に厄災と呼ばれる竜の一種であり、街1つを軽々破壊するそのブレスは、天罰の如き光線となり全てを塵に還す。
それでも最上級の危険度に届かず、上級の危険度である。
それは、龍では無く竜であるから。
龍は生まれながらして龍だが、彼等竜は進化の果てにたどり着いた頂点である。
龍とは違い、喋る事の出来ぬ獣であり、ある程度の知能を有するとは言え、所詮は獣の浅知恵である。
だが、その圧倒的な力は、獣ですら災厄へと昇華させる。
魔の森に産まれた彼は、数多の進化を果たす程戦い抜いた本能が、目の前の小さき生物が自分の首に届く牙を有している事を感じ取った。
ソレに遭うまでに遭遇した、二本角の餌や、毛が生えた餌とは違う。
自分と同等の存在であると。
故に、目の前のソレが底なしの魔力を保有しているのに、僅かな魔力しか使わない事、背後の仲間を庇って機動力が削がれている事を疑問に思う。
自分が生き残る為には、仲間など不要なのだから。
誘い込まれているのかと疑ってみたが、数度の打ち合いから、目の前生物は力を上手く操れていないと結論付ける。
だが、僅かとは言え自分の頑強な鱗に傷をつける攻撃を、巨大にして放ってくるとは予想外であり身の危険を感じる。
グリーンドラゴンは、咄嗟に自分の持てる最大の手札を切る。
即ち、全力の一撃。
目の前のソレが、新たに何かする時間も与えず、何故か庇う味方を射線に入れ回避をさせない。
勝利を確信した。
後は、身体を喰らえば、自分はその魔力を手に入れられ、更に力を手に入れる。
煙が徐々に晴れ、骸がある筈の場所には、ボロボロの少女が立っていた。
お読みいただきありがとうございます
最近睡眠時間が取れず、誤字脱字が多いかと思います。
魔王を倒したその後でも地道に書いてはいますが、寝落ちが多い為少し遅れており申し訳無いです。