魔の森、冒険者達
魔物の強さは、危険度で表してます
最低位 一般人でも倒せる
低位 訓練した人が倒せる
中位 訓練した人が複数人で倒せる
高位 訓練した人が大多数で犠牲を払って漸く倒せるかもしれない
最高位 複数の国が連携して、押し留める事が出来る
上記の人間は一般人なので、天才や勇者、種族によって異なります
ボウ達が魔の森に入って、既に日が暮れかけている。
魔物達の住処である魔の森で、夜に行動するのは自殺行為である。
彼等はさっさと野営の準備を済ませて焚き火を囲う。
「森の様子が変だ」
彼等が昼に遭遇したシルバーウルフは、群も壊滅したのか数匹のみが傷だらけで何かから怯えており、ボウ達には目もくれずに駆けていった。
シルバーウルフは魔の森の中でも厄介な存在であり、リーダー率いる群は中位の危険度を誇る。
そんな彼等が怯える程の存在がいる。
同等以上の強さを誇るオーガでは、あそこまで群れが壊滅する筈がない。
「ねぇ、ボウ」
声をかけたシャーをみると、真っ青に怯えて震えている。
「もしかして、オーガの群れじゃないかしら?」
オーガの群れ。
オーガの様に、本来は徒党を組む事が無い生態の魔物も、時には群れを形成する。
その危険度は、本来危険度が最低位のゴブリンですら低位を飛び越え中位に至る。
最低位とは一般人が何とか倒せる強さであり、1つ上の低位では、戦闘技術を得た人間で無ければ倒せない強さとなる。
中位の危険度がどれ程かと問われれば、一対一ならば、達人レベルで漸く互角に戦える。
只でさえ、個体の強さが中位の危険度となるオーガが群れを成せば、危険度は上位へと上がり国が滅ぶ危険もある。
「あり得ない……と、思いたいな」
オーガの様な単体で戦力が高い魔物が群れを成すのは、変異種が生まれる事が原因である。
変異種は魔王の種と人々に呼ばれており、総じて同・異種族で群れを作る。
「ケン、お前の見立てはどうだ?」
ケンは斥候を仕事としており、仲間を生還させる為に魔物の知識も豊富だ。
過去の冒険者ギルドの資料照らし合わせながら、ケンは慎重に語る。
「オーガの群れなら、新米共が襲われたのは偵察って訳だ。もし偵察ならば、俺達は既に本隊、もしくは襲撃部隊と遭遇していないと可笑しいと思う」
「たしかにな。なら、オーガすら怯える程の危険度上位の個体が現れたという事か?オーガやシルバーウルフはそれから逃げてきた」
「だろうな。そして、魔の森に住む危険度上位の魔物は、既に存在が語られている……」
「ありゃ、お伽話だろ?」
「待って!あれは何かしら?」
2人の会話はシャーの不意な言葉に遮られる。
辺りは既に闇に包まれているが、それ故にシャーはその光に気がついた。
「さっきから、何度も光っているの」
「魔法か?」
「多分、魔物同士なのかは分からないけど、恐らく戦闘中よ」
魔法を扱う魔物は、最低でも危険度中位の強さを誇る。
オーガが逃げてきた理由から察するに、危険度上位の個体が戦闘を行っているのだろう。
しかし、疑問も残る。
「何が戦っているんだ?」
「それは……そもそも、本当に魔物なの?」
3人は思い至った、人が死闘を繰り広げている可能性に。
「分からんが、俺達は進むしかない。魔物にしろ、人間にしろ、情報を持ち帰るべきだ」
ボウの言葉に2人は頷き荷物をまとめる。
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