クラスメイトは潜む
今回も短いよー
王達の話を忍んで聞いていた安藤のクラスメイト、服部仁治は顔を青ざめて佇んでいた。
服部はユニークスキル、潜む者を得てこの世界に転移した。
スレイヤーでは無く、忍びの方な為、戦闘能力よりも情報収集に秀でた技術を強化するスキルである。
学校で有名な安藤夫妻の逃走劇を見て危機感を取り戻した服部が物陰に身を潜めると、スキル効果の1つである気配遮断が発動したのだ。
クラスメイト達がステータスと唱えている間も彼は隠れおり、王達の精神支配から逃れる事が出来た。
安藤夫妻は学校ではかなり有名である。
高校生の入学時に引っ越してきた安藤は、顔が良いが誰からも距離を取っている男だった。
これは、彼がセブンセンスに慣れておらず、他人の悪意に怯えていた所為だ。
しかし、夏休み前に天宮七瀬が転入してきてから、彼は変わった。
天然で不思議ちゃんな七瀬は、小学生でも通じる低身長と、愛らしい顔で男女共に小動物的な可愛さに人気となった。
転入当時は安藤との接点はあまり無かった様だが、夏休みが明けてみれば、安藤が七瀬の世話を甲斐甲斐しくしており、時折笑顔を見せる様になったのだ。
クラスメイト達は思った。
愛は人を変えると。
七瀬は七瀬で、安藤の為に(毒入り)お弁当を作ってきたり、休みの日は(罠に嵌めるために)一緒に出掛けたりと小さな身体で一生懸命(抹殺計画を)頑張っており、学校では安藤夫妻と有名になっていた。
服部は奥歯を噛みしめる。
自分達に残された時間は少なく、直ぐにでも病に倒れる可能性が高い。
一刻も早く国を出るべきではあるが、戦闘向けのスキルでは無い服部では、やはり仲間を何人か連れていかなければ厳しい。
だが、クラスメイトの殆どがヒゲーヌの手に堕ちている。
それでも、ステータスを開かなかった者には何人か心当たりがある。
安藤夫妻の逃走劇により、敵側にも隙が出来たことが大きい。
「安藤夫妻、無事でいろよ……」
服部は行動を開始する、自由の為に。
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