ロリウィッチ巨乳と戦う
「貴方達勇者様は、別の世界より召喚された存在なのです」
ビッグオッパイは、胸に栄養を取られる余りに、頭は足りてない様だな。
ソンナ脂肪付けてるからだっつーの。
「アイツ、頭の病気なのです」
「七瀬、本当の事でも相手に言ってよい事と悪い事がある。彼女は確かに頭の病気だろうが、立派に自分の足で立っている。馬鹿にするものじゃないぞ」
「分かったのです、立派な頭の病気なのです」
「……そうだな」
ビッグオッパイは頬がヒクつくを超えて、笑顔のままバイブレーションしているぜ。
オレ様の優しさに触れて、感動しちまってるんだなァー。
照れるぜ。
セブンスターも、偶にはよい事言うじゃねーか。
「こ、こ、此処が異世界だと証明するのは簡単です。ステータスオープンと唱えてください、そうすれば貴方達の使命と、力を正しく理解して頂けると存じますよ」
なにやら、ゲームじみた事を言い出したが。
不味いな、徐々に騎士のコスプレ共が追いついてくる。
ビッグオッパイの前には、何やら半透明の文字が浮かぶが、反転しているのでよく見えない。
「安藤さん、あの……」
「七瀬、試してみよう」
「ふふっ」
勝ち誇った様に笑うビッグオッパイ。
クソッタレェェッ!
オレ様にもっと乳が有れば、こんな淫奔女にッ!!
「七瀬、一緒にだ」
「はいです」
「「すてー」」
てーで伸ばした瞬間、勝ちを確信したビッグオッパイはその顔を歪ませ笑って手を伸ばす。
だが、セブンスターはオレ様を空中に残したまま跳躍、ビッグオッパイの懐に入り、奴の顔面、鼻辺りに拳を打ち込む。
宙に取り残されたオレ様は、左右の柱に隠れていた雑魚共に向かって電気ショックを撃ち込む。
魔法怪人ロリウィッチのオレ様は、あらゆる魔法を創設する事が可能だが、生憎魔法のエネルギーとなる魔力自体は多くない。
と言うか、地球は奇跡が薄れて魔力の密度が下がったので、大した魔法が使えないのだ……多分な。
なので、魔法創設で作った魔法も弱っちいスタンガンをちょっと強くした電気くらいしか使えない。
いや、使おうと思えばヤバイ魔法も使えるが、その為にはコツコツ魔力を日頃から貯めねェといけないんだ。
因みに、セブンスターは、オレ様が実は魔法少女だと言ったらアッサリと信じた、途方も無い間抜けだ。
何はともあれ、人間は電気を喰らえば大抵は意識を失う。
まぁ、鼻が潰れて鼻血出して気絶してるビッグオッパイは良いザマだが、同じ乙女としては可哀想に……思わねェなァッ!
ブゥワァーカッ!!
オレ様の自由落下が始まると、セブンスターは急いで此方に戻りお姫様抱っこでキャッチする。
恐らくこのビッグオッパイはソコソコ手練れだったのだろう、だから言いなりになり、気を許した瞬間に潰した。
鼻を。
「安藤さん、安藤さん」
急いで駆け出そうとしたセブンスターをオレ様は呼び止める。
訝しげにした奴を無視し、ビッグオッパイとその他を指差しながら言う。
「敵の顔ぶれを見る限り、此処は外国なのです。私達はお金を持っていないので、拝借した方が良いと思うのです」
「確かにな」
セブンスターはオレ様を片手に座らせて手を開けると、ビッグオッパイの服を触る。
すると、一瞬でビッグオッパイは全裸の痴女へと早変わりした。
大事な所は、突如勢い良く吹き出した鼻血で隠れる。
「あ、安藤さん、安藤さん。なんなのです?マジックなのです?」
「あぁ、七瀬には見せて無かったか。これはセブンディメンション、あらゆる物を星空の如く収納できる」
「せぶんでぃめんしょん」
「といっても、俺は使いこなせて無いから、4次元的な効果しか得れないがな」
勉強不足かな等とセブンスターは続けるが、奴が何処からか道具や食料を取り出す他、飛び道具が突如として消えたりするのはこの能力かクソガァァーッ!
手で触れる必要があり、他の知的生物が触れて無ければ収納出来るらしい。
ハァッ!?
怪人は普通個性1個なんですけどォー!?
何で7個も持ってて、有能な個性ばっかりなんですかァー!!
オレ様の魔法創設とか、めっちゃ有能そうだけどエネルギー足りなくて全然使えないんですけらどォー!!
あらゆる魔法を創生する(MPが足りない)とか、ハークソだ、クソだァ……。
オレ様が自己嫌悪していると、他の奴らの身包みを剥がし終わったセブンスターは、再びオレ様を肩車して走り出す。
「安藤さん、安藤さん。セブンセンスは安藤さんに負担が無いのです?」
有能な能力に見えるが、7倍という事は身体に掛かる負担も7倍という訳だ。
弱点になりそうだがァー……。
「安心しろ七瀬、心配するな。耐久も7倍だから、デメリットは無い」
クソッタレェェェッ!
誰が貴様の心配などするかァー!
貴様を葬れない心配だボケェッ!!
なんだよ耐久も7倍とか、エネルギー効率も7倍とか言い出すんだろ?
知っとるわッ!!
「エネルギー効率も7倍なのです?」
「……っ!そうか、その手が有ったか。ありがとう、七瀬。唯一の弱点で、腹が減るのが早いんだが、今解決した」
チクショーッ!!
やっちまったッ!
オレ様のせいで唯一の弱点が無くなっちまったヨォーッ!
「そ、それは良かったのです」
「七瀬は何時も、大切な事を気付かせてくれるな」「それは良かったのです」
「必ず守るからな」
「それは良かったのです」
「結婚しよう」
「それは良かったのです」
「……ああ」
オレ様が奴を強化した事実に項垂れていると、デパートの様な高さの壁が見えてきた、恐らく城壁って奴だろう。
振り向けば、立派な城が見える。
西洋風な悪党共の顔に似合った城だ。
「安藤さん、安藤さん。恐らく門は使えないのです」
「問題無い」
セブンスターは右手を広げて顔を掴む。
まるで、星の様に顔を覆った手は煌めく。
「変身ッ!」
銀河の様な趣味の悪い蒼いマフラー、白銀のボディスーツに、顔を隠す五芒星の仮面。
オレ様の大っ嫌いなセブンスターに変身した。
相変わらず、虫唾が走る趣味だ。
いや、人造怪人作ったのは前の組織のお偉いさんだけど。
ちゅーか、正式には奴の父親だけど。
セブンスターはオレ様をお姫様抱っこに移行する、オレ様は面倒なのでされるがままだ。
多分、本気で動くのだろう。
オレ様は、自分を覆う風のシールドを魔法で発生させ、奴の動きに備える。
只でさえ、身体能力が人間の数倍である怪人を、更に強力な個体となる様に無理やり作られた人造怪人の力、それが7倍だ。
あれ?オレ様勝てるビジョンが見え無いゼ?
「行くぞ」
高速で走り出すセブンスターは、勢いのままに壁を駆け上がる。
垂直方向だが、重力を感じさせない走りである。
下を見れば、変身の光で集まった鎧共が呆けた様に見上げている。
右脚が落ちる前に左脚を出せば壁を駆け上がれるなんて、オレ様知らなかったっ!!
流星の如く煌めくセブンスターは、そのまま壁を越えた。
お読み頂きありがとうございます