表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王討伐RTA  作者: NHRM
4/5

四天王の騎士王がこんなに弱い訳がない!

『乗合馬車に乗った所から再開です。乗合馬車に乗っている間スキップボタンを押すことで目的地までの過程を飛ばすことが出来ます。押さないと、野盗襲撃イベントなどが発生しますが時間が惜しいので今回はスルー、人狼村からスタートです』


開拓村に乗合馬車から降りると、村の入口にいた陰気そうな男が話し掛けてきた。


『人狼が出る情報を伝えてくるだけなので無視して村長の所に行ってください。向かったら連打で人狼の探索依頼を承諾します。その後、村の入口手前にある村長の娘夫妻の家に赴き病気がちの母親を殺してください』


「ヒヒヒッ、よく来たなここは人狼の出る……おい聞けよ」


後から付いてくる男を無視して、村で一番大きな家に突入する。

すると、そこには高齢の者が何やら村の者達と話し合っており、その様子から村でも権力を持った存在だと察した。

おそらく村長であろう者に、話し掛けた。


「何だ貴様は――」

「勇者だ、困り事か?解決してやろう」

「余所者のお前に頼む事など――」

「解決すると言っている、答えは!」

「そ、そこまで言うなら……村に――」


村長の言葉を聞いて家を出ることにした。

村の探索を行い情報を集めるためだ。


『本来なら色々な場所でアイテムを手に入れてそれを渡すことで村人の警戒を解き、ヒントを得ながら人狼を探すのですが人狼は村長の孫娘です。村人全員が孫娘が人狼であることを知っているのですが、何故か気付かないフリをしています。最初に話しかける村人限定で警戒心を解く通称交渉アイテムは不要なのでそのまま人狼の元に向かいましょう』


直感に従い、村の入口近くにある家にやって来た。

働きに出ている村人と違い、病弱な母親とそれを看病する娘の二人が暮らす家だそうだ。

夫は行商をしていた際に野盗に殺されたそうだ。


「誰、ウチに何か――」

『入口前に来ると娘が話し掛けてきますがドアに向かってローリングすることで会話を中断してください。娘と会話すると遅い。家に突入後は装備の切り替えを駆使することでバクスタ短縮します。水を飲もうとしている母親の横に回ってください、武器ごとにバクスタ速度は違います。聖剣よりナイフの方がバクスタは微短縮です』


声が聞こえたが無視して家の扉に向かって突撃する。

何故か前転しないと行けない気がしたので扉に突っ込む。

木製の扉が壊れる音を発したことに家主であろう女性が水を持ったまま固まっていた。

流れるような動作で腰に挿していた生贄用のナイフを持って、起き上がりと同時に腕を突き出す。


「お母さん!?貴様ぁ!」


すると、女性は自ら背中を向けて此方に後ろ向きに高速で飛び込んできた。

まるで吸い込まれるように女性の身体が動いたが、どうやら自ら刺されに来たようだった。

気付けば、背後から何者かに攻撃を受けて肩が痛むのだが振り向きざまに聖剣で斬り殺した。

斬り殺した存在を振り向いた状態で確認すると、服を着た狼が身体の中心を境に真っ二つに両断されていた。


『バクスタで人が吸い込まれるように見えるのは仕様です、バグではありません。定められた死の運命が吸引力を生み出すとかそんなんです。母親を人狼だと判断して殺害すると、孫娘に噛まれるイベントが発生。ダメージを受けると同時に人狼になります。人狼になると特殊技能が手に入り、人類と敵対。後村人から襲われますが戦闘は無視です。あと、聖剣がヘイトによってまた呪われます』


聖剣が血が触れた場所から黒く染まって見慣れた状態になる。

同時に身体が熱くなったが見た目にはリザードマンに毛が生えただけで変化は殆ど無い。

次の目的地の為に家の外に出ると村人が家を囲むように集まっていた。


「どうして、どうしてあの子を殺した!」

「あの子は呪われていただけなのに、私達はただ静かに生きていたかっただけなのに!」


村人が何か言っているが襲われる前に腹にパンチを叩き込み、逃走を図った。

村人が農具を持って追いかけてくるが、自然と身体が前傾姿勢になる。

なんと、犬の如く四足で野を駆けていく。

これこそが自然であるかのように、何だかしっくり来た。


『東の開拓村から南の修道院まで直行です。移動中は暇なので解説、人狼化すると雄叫びという全体に1ダメージという怯みを与えるだけの特殊技能が手に入り、街で活動できなくなり早く移動出来ます。後、人から避けられるので野盗とも戦闘にはなりません。本来開拓村は人狼退治が依頼であって、殺害でなく解呪することが正規ルートで、殺害だと村人と戦闘になります。クソ技能ですが後で必要なので一時的に解呪して敢えて人狼化しました。解呪しないと人狼化の際に死にます。修道院に着きました、スキップできないムービーです』


気付けば古びれた修道院に俺はいた。

すると、懐にあった光る円盤が修道院の窪みに飛んでいき嵌まると同時に修道院の閉ざされた扉が開いた。


『南の修道院はボスまでトラップが多いですが、配置を覚えれば問題ありません。開幕で矢が飛んできますがローリングで回避、敵が集まってきますがとにかくまっすぐ走ってください。まず地下に向かう螺旋階段を飛び降りながらショートカット、一番下まで行ったらレバーを引いて今度は上に上がります』


中に入ると、暗闇の奥から煌めく何かがあった。

矢だ、それを紙一重で避けると甲冑の擦れ合う音が響いた。

敵に囲まれると判断した俺は駆け抜けることで回避を選択した。

駆け抜けると眼の前には螺旋階段があり、上と下に別れている。

俺は迷わず螺旋階段の中央部に飛び込んで落下した。

途中、手すりに何度か捕まり減速することで地下まで落ちていく、レバーだ。

引かねばならないという直感に従いレバーを引き、やることがなくなったので階段を上がっていく。


『レバーを引いたことで上の階層への道が開きます。中ボスです、巨人が立ち塞がりますが右足を重点的に攻撃してください。そのうち、体勢が崩れて勝手に死にます』


階段を登りきると、修道院の屋根に出た。

屋根の上に出ると巨大な敵がいた。

恐らくは噂に名高い巨人族、重装備に固められた隙のない強敵、そんな存在が俺の前に立ち塞がった。

見上げるほど高い位置から、空を覆うほどに分厚い大剣が落ちてくる。

このままでは死んでしまう、故に敵の懐へと入っていった。

巨人族の足元に来ると、背後で物が押しつぶされる音がした。

巨人族の巨大な大剣が振り下ろされたからだ。

巨人族の騎士は、足元にいる俺を踏み潰そうと片足を上げる。

苦し紛れに残った軸足に斬り掛かるが対してダメージを与えられない。

ダメだ、このままでは、死ぬ。


「オォォォォ……」


しかし、神の加護か。

巨人族が後ろに倒れるようにして落ちていく。

軸足に攻撃したからか、態勢を崩して屋根から滑り落ちたのだ。


『普通に戦うより、踏み潰し誘発からの落下死の方が早いです。初心者は一撃目を避けきれませんが、玄人はミスらない。中ボスを撃破したら、修道院の最上階を目指します騎士王が待ってます。騎士王と会話が始まったらイエスを選択して、ローリングしてください』


巨人族が死ぬ所を確認した俺は奥にある塔に突入した。

ガラスのような階段が内側にある塔を、登っていくと最上階で黒い鎧を纏った白い肌の女騎士がいた。

病的な白さに人間でないと直感的に理解する。


「よくぞ来た勇者よ。私が四天王の一人、騎士王ヴィルヘルムである。貴様の武勇を讃え、一度だけチャンスをやろう。どうだ、私に忠誠を誓い、我が夜の眷属とならないか?」

「あぁ」


『スキップできないムービー、イライラタイムなので解説。騎士王は吸血鬼で忠誠を誓うか問うてきます。イエスだと武器を奪われ戦闘、ノーだとそのまま戦闘です。吸血鬼になりたい場合は別のイベントか課金してDLイベントを導入してください』


その妖艶な見た目のせいか、自然と身体は動き出した。

まるで騎士の叙勲式の如く、自らの黒い聖剣を捧げて頭を垂れる。

こんな事をするなど、勇者失格にも関わらずだ。


「フン、見損なったぞ。死ぬが良い!」


そして、その騎士王の声にやっと身体が動き出した。

それこそ生存本能、殺気に身体が反射的に動いたのだ。

後ろに飛び退くと、騎士王が黒い聖剣を振り下ろしている所だった。

俺は自らを奮い立たせるために、雄叫びを上げる。

すると、騎士王が膝を着きボロボロと崩れていく、えっ?


「魔王様……お許し下さい……」

『意味が分からないと思いますが、武器を奪う仕様により聖剣の呪いで騎士王の体力は1になります。それから意味のない雄叫び攻撃が人狼化したことで怯み判定を得て1ダメージを与えられるようになります。それにより、雄叫び一発でクソ雑魚騎士王は死にます。これはハメ技であってバグではありません、多分これが一番早いと思います。次はラスボスです』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ