お前のような馬がいるか!
『今回は魔女を倒した所から再開です。魔女を倒したら、北に向かいます。次は北の竜王です』
魔女を倒したら森を北に向かって抜けていく。
途中、田舎町の教会に立ち寄った。
幾許かの金を寄付し、教会で祈りを捧げる。
『教会に入ったら司祭が挨拶してきますが、金の無心なのでボタン連打でお願いします。いいえを選択すると説教されて拘束されます。教会ではステータスの強化が行なえますので体力全振りで、呪い起死回生コンボで体力が上がれば上がるほど全ステータスが上がるので他は上げないでいいです』
「もしや貴方は――」
『無視します。司祭の娘を助けるイベントは時間の無駄なのでスルーします。途中地点にある田舎の村の村長宅に入って、奥の宝箱を開けます。鍵は村長が持ってるので殺して奪ってください。宝箱には身代わり人形が入ってます。一度だけ致死攻撃を身代わりしてくれます。絶対手に入れてください』
立ち塞がる司祭を無視して、村一番の屋敷に侵入する。
侵入と同時に食事中の村長が対応しようとするが、問答無用で聖剣を抜いた。
「誰だ貴様は、ぐわぁぁぁ!?」
聖剣で村長を殺害して懐から鍵を奪い宝箱を開ける。
その様子を目撃した奥さんが外に出ていったが無視した。
宝箱を開け、藁で出来た精巧な人形を懐に収めて屋敷を出る。
屋敷の外にいた、馬に飛び乗り村の外へと向かった。
『馬は移動速度にボーナスが入ります。ステ―タスの1.5倍で、呪い起死回生コンボで馬も強化されます。仕様です、バグじゃないです。勇者の加護が馬にも伝わるとかそんなんです、バグ技じゃないです。大事なことなので二回言いました』
村を抜けて、道なりに駆けていく。
通行人や傭兵がいたり、モンスターや野盗が襲ってくるが回避でスルー。
崖の上に聳え立つ辺境の砦が見えてきた。
『北の竜王は、竜の峰と呼ばれるステージにいます。険しい岩場、激流の谷、溶岩地帯、雪山、環境ダメージでだいたい死にます。ボスより環境の方が強いので対策しないと進めません。険しい岩場に来たらその近くにある監視砦に入ってください。辺境なので敵対ではありませんので出会い頭に先手を取らないように注意』
「お前は一体――」
馬に乗ったまま砦内部に入り、そのまま地下の階段へと馬に乗ったまま進んでいく。
砦の地下に行くと薬品が収められたような部屋と年老いた魔法使いのような存在がいた。
『監視砦の地下には竜王が侵攻したときの為に、古の賢者が配置されてます。彼のお使いクエストを受けてください』
「おぉ、お主は勇者じゃな。して、老いぼれに何用かな?」
「説明している時間はないが説明しよう、お前の要望を叶えるために来た」
「おぉ、これぞ神の思し召し!老骨では素材採取がままならなくてな、人に頼もうと思っていたところじゃ。それを勇者殿がやってくれるなら、これほど心強い事はない」
素材採取依頼を承諾すると、素材リストと適応の魔法を掛けてもらった。
これでどんな所でも素材採取が出来るそうだ。
『竜の素材を渡すことで色々アイテムを貰えますが、採取する時間はないのでスルーします。これで環境ダメ対策が出来ました、馬に乗って砦を出ます。険しい岩場の特徴は瘴気ですが、賢者の魔法で問題ないです。道を踏み外して死なないようにしましょう、まずは崖から飛び降ります』
「もしや、貴方は勇者様で――」
砦を出ると同時に崖を飛び降りる、俺の馬は最強なんだ。
馬は落ちながら崖の壁面にある出っ張りに着地、そこから次は崖に生える木に向かって飛び降りる。
木に着地したら枝の方へと走っていき、また飛び降りた。
今度は崖の斜面、斜面に着地と同時に駆け出して崖下までほぼ垂直に走っていく。
「勇者様ぁぁぁぁ!」
『本当は崖に沿った道を進まないと行けないのですが、蛇行しているだけなので場所さえ分かればショートカット出来ます。岩場の出っ張り、道になってる崖から伸びた樹木、斜面をこのルートで降りれば大丈夫です。場所が少しでもズレると落下ダメで普通に死にます』
崖下に辿り着いた俺は馬に乗ったまま大きな洞窟に入っていく。
洞窟の中へと入っていくと、巨大なドラゴンが眠っていた。
中をくり抜いたのか巨大なドラゴンが自由に動き回れる程度には広くなっていた。
『ボスです。攻撃するまで起きないのでまずは背後を取ります。翼のない土龍は顔と尻尾以外は硬い鱗に覆われて攻撃できないので普通には戦いません。しっぽの付け根に穴があるので、そこに向かって聖剣を突き刺してください。突きだしたら距離を取って逃げ続けます』
「グオォォォォォ!?」
ドラゴンが突き刺すと同時に悲鳴を上げて立ち上がる。
立ち上がり、怒りの声を上げながらゆっくりと方向転換しようとしてそのまま崩れ落ちた。
ドラゴンが死んだ。
『属性武器を突き刺すと自分では抜くことが出来ず、継続的に属性ダメージを喰らいます。現在は呪い起死回生コンボで加わった攻撃力が背後からの攻撃補正が入り継続呪いダメージで30秒で死にました。竜の心臓を取り出して摂取してください。素材提供すると竜属性の魔法を教えてもらえますが、自分で食べて竜人なったほうがステータスが上がります。武器以外装備出来なくなりますが、問題ないです』
ドラゴンの首を切断して、中を抉るように削っていくと、脈動する心臓を発見した。
試しに心臓を食べてみると、一口食べるごとに体が熱くなる。
食べきる頃には体は炎に焼かれるように熱くなっていたのだが、食べるのは止められなかった。
気付けば俺の体は赤い鱗に覆われていた、ケツに違和感があると思えば尻尾が生えており鋭い爪と何より顔が細長く伸びていた。
トカゲみたいな、ドラゴン染みた格好だ。
リザードマンにしか見えない。
『洞窟の反対方向に進めば次のステージです。激流の谷を道なりに登ってください。特にギミックとか無いので走るだけです』
洞窟を抜けると激しい河が目の前にはあった。
谷と呼ばれることだけあって周囲は崖に挟まれた谷底だ。
河にポツンポツンと設置された岩を飛び渡り、向こう岸にやって来た。
道のように蛇行する坂があり、進めば上に行けそうだ。
『向こう岸の坂を登りきったら少し河の上流に向かって進み降ります。その後またこっちの岸に戻って崖を登って移動して降りて、向こう岸に渡ってと最終的に上流を目指すのですが今回はショートカットします。坂の途中で上流側に向かって飛んでください、下り坂に着地できます』
坂の半ばで助走を付ければ行けそうな場所があり、試してみることにした。
坂の半ばから飛び降り、激しい激流の上を通過して、少し離れた場所にある下り坂に着地できた。
下り坂を最後まで降り、先程のように岩の飛び地を使って激流の河を渡る。
数度繰り返すと河の上流が見えてきた、滝だ。
『ボスです。滝の横にある梯子を使います。馬は放置で構いません。階段を登って奥にある騎士王の紋章を手に入れてください。別の場所でも手に入りますが、ここが一番早いと思います』
長い、長い梯子を登った先には湖があった。
その奥には、9つの首を持ったドラゴンがいた。
聖剣を携え、奥に進んでいくと朽ちた騎士の亡骸がドラゴンの前にあった。
ドラゴンはそれを見つめるだけで襲いかかっても来ない。
不思議に思いながらも、騎士の死体の横に光る円盤があったので拾い上げた。
「キシャァァァァァ!」
円盤を拾い上げると同時にドラゴンが威嚇してきたので、逃げ出す。
来た道を引き返し、ドラゴンから離れていく。
必死に湖を掻き分け追ってくるが逃げる速度の方が早い。
そのまま梯子まで辿り着き、そのまま降りていくと滝の上から此方に向かって叫ぶドラゴンの姿があった。
『一方的に嬲っても良いですし、放置しても問題ないです。倒しても経験値だけなので、倒す必要は今回はないです』