6・寄り道なんてしませんよ
暖かな太陽と、爽やかな風の中、耳障りなガサガサという音を立て、進む一行。
ハイ!僕とコボコさんボボコさんの3人ですよ。
ちなみに、現在僕らの下には
・・・アンコム
このアンコムの事なんですが、ボボコさんが言っていた「慣れれば可愛い」と言っていた事が何となく分かる様になりました。
枝を投げれば、嬉しそうに取ってくる・・・高速で動く脚が、気持ち悪いですが。
撫でてあげれば、嬉しそうに目を薄めています・・・目つきが悪いですけど。
餌をあげれば、全力で食らい付きます・・・・口から覗く鋭い歯と、飛び散る血飛沫が恐ろしいですけど。
気持ち悪さの100分の1ほど可愛いと思える様になりました。
そして、現在巨大アンコムの上に僕達三人と、一人乗り用の小さなアンコムが三匹、その後ろを中ぐらいのアンコムが二匹、荷物を乗せられ付いて来ています。
ちなみに、家を出て三日経ちましたが・・・寄り道もせず、魔王に向かって一直線です。
「あの・・・何処かの村とかに寄らないんですか?」
「村?ん〜。」
「無理だな。」
悩むコボコさんに、バッサリと言い切るボボコさん
「やっぱり、魔王の影響が大き過ぎて、悠長にしてられないんですね。」
そうですよね他の世界では
魔王討伐に行く人達が、何故か賭博場でギャンブルをしていたり
異性達とキャハハ ウフフしてたり
魔王討伐とは全く関係ない依頼を引き受けてみたり
と、かなりのんびりと進んでいたので、てっきり そういうものなのだと思っていましたが。そうですよね、魔王討伐に出る人は、魔王を倒せる実力があるからこそ行くんですから、のんびりなんてしませんよね。
旅をしながらのんびりレベル上げとかもしませんよね。
魔王が城で悠長に待っているはずが無いですし、弱い敵から順に当たるとも限りません。うっかり初日に魔王に遭遇なんて事もありえますよね。
「違う違う、魔王は関係無い。アンコムが暴れるからだ。」
暴れる・・・もしや村の人達を、食い千切って・・・
「アンコムは人見知りでね、知らない人を見ると威嚇で、臭い粘液をぺってね!」
・・ん?粘液?
「アンコムの粘液浴びると、浴びた人はあまりの臭さに、本人だけでは無く、側に居た人達も失神。その日から一年間、あまりの悪臭に誰も近寄れず、寂しい生活を送る事に・・・・。」
なんだろう・・・確かに悪臭を浴びた人は、可哀想だと思うけど・・・頭からバリバリ食べられる事を想像してたから、インパクトに欠けますね。
「それなら、村の近くで待たせておけばいいのでは?」
「この子達、見た目に反して寂しがりやなんだよね。どれだけ言い聞かせても、ついてきちゃうんだよ。」
「家の敷地内は、自分達の縄張りだと思っているから大丈夫みたいなんだけどなぁ。」
「だから、魔王討伐が終わったら、アンコム達を留守番させて、一緒に街を観に行こうね。美味しい店とかいっぱい連れてってあげるからね。」
楽しそうに、ボヨンボヨン揺れるコボコさん・・・・
とっても嬉しい・・・です
嬉しいですが・・・それ、フラグですから!!
言ったらダメなヤツですから!!
「そうだな、魔王討伐が終わったら、三人でいろんな所にいこうな。」
あぁ・・・ボボコさんまで・・・
ボヨンボヨン揺れる二人の姿を、僕は遠い目をしながら見守りました。
目なんて付いて無いんですけどね!!!!