4・神様を『お前』と呼びたい
『久しぶり〜 さっきぶり〜??』
「お前のせいかあああぁぁぁ」
『あれ?何怒ってるの?』
「何、じゃないでしょう!行方不明になったかと思えば、転生を仕組んだり、突然呼び出したり、普通怒りますよ!。」
失神の原因は神様です。神様に会う為に、失神させられたんです。勿論、神様がエイッてやっただけ失神しては、不自然ですからね、僕がある程度ショックを受けた状態で、呼び出しと言う名の失神をさせられるのです。
『そうなの?私は君の手助けをしたあげたつもりなんだけどなぁ。』
「手助け?転生を仕組んだ事ですか?いったい何が手助けだと??」
『だって、ほら・・・ねぇ』
「なんとなくで喋るの止めてください。」
『違うよ!これには深い深い訳があるんだよ。私だって好きでこんな面倒な事、仕組んだりしないよ。』
「やっぱり仕組んだんですね。」
あら?何時もならここで、『だけど、君なら大丈夫だよ』なんて、適当な言葉が返ってくる所なんですけど、珍しいですね。神様がシュンとしてますよ。
「・・・・」
いつまでシュンとしてられるか、しばらく黙ってみましょうか。
「・・・・」
あれ?本当に珍しいですね。神様が大人しいですよ。
「・・・・」
静かになったらなったで、腹が立つのは何ででしょう。
「・・・」
仕方がないですね、こちらから少し歩み寄ってあげましょう。
「分かりましたよ。深い深い訳を聞いてあげますよ。」
『何が分かったんだい?』
「はぁ???」
“分かりました”なんて言葉は、話の前置きでしょう!
何故今そこをツッコむんですか!!イラッとしますよ、しかしここで怒ると更に面倒になるので、ここはスルーです。頑張れ僕!!
「反省しているのは、分かりましたと言いたかったんですよ。」
『あ、ごめん反省はしてないよ!どっから話そうか悩んでただけだから!』
この神様、こうゆう神様でしたね!短時間で忘れるなんて、僕はまだまだですね!!
「もういいです。最初から全部話してください。」
『少し長くなるけど良い?』
「良いから早く話してください。」
長くなれば長くなるほど、僕は長時間失神している事になるんですが、こればっかりは仕方がないです。
ボボコさん、コボコさんごめんなさい。
『それでは、最初から話そう。
昔々ある所に、数多の世界を統べる全知全能の神がおられました。』
・・・誰の事でしょう・・
それより、態々昔話風で喋るんですね・・・
『その神様は、沢山の世界を生み出し、その世界達の成長を見守っていました。しかし、神様は見守るばかりでは退屈で、自分の作った世界に潜り込んでは、その者達と言葉を交わし、交流しました。そうして、一時の寂しさを紛らわす事は出来ましたが、神様にとってそれは、一瞬の出来事。その相手は直ぐに転生してしまいます。そこで神様は考えました。自分と同じ神を作り出せば良いじゃないかと。』
すっごく嫌な予感がします・・・
『そこで、神様は自分の力の一部を切り離し、自分で作った人形に埋め込む事にしました。そして神様が、自分の力の一部を切り離し、人形に埋め込もうとした、その時、足下には大きな石が!』
ええ、忘れてましたよ、この神様が適当でアホだという事を!
『神様は盛大にコケました。あの時の痛みは絶対忘れないでしょう。本当に痛かった。』
大事なのそこじゃ無いですよね・・・
「で、気付いた時には、神様の一部は無くなっていたと?」
『そうだよ〜 本当に困ったよ。でもさ、大きなカケラは最近発見したんだ。』
「それが、今回の魔王だと?」
何だか変な感じがしたんですよね。コボコさんの運が最強だって言っても、魔王を作り出すなんて早々できる事ではないですしね。
『違うよ。』
そう言って、神様は僕を指差します。
「え?」
『1番大きなカケラは、君だよ。』
「はぁ?」
『いや〜誰かに取り込まれたのは、分かってたんだけど、それが特定出来なくてね、困った困った。だからそれらしい人間を見つけて違う世界に転生させてたんだよね。本当に見つかってよかったよ。』
という事は・・・・
「転生スパイラルの原因は、お前かああぁぁぁぁぁぁ。」
神様に“お前”は、失礼かもしれませんが、こればっかりは“お前”で良い気がします。
『最初の原因は、私だけど、転生を繰り返したのは、あくまでも数多の世界が君を欲しがったからだよ。』
「神様、一つ質問です。」
『うん?なんだい?』
「神様のカケラが僕に入らなくても、僕は数多の世界に欲しがられ、転生を繰り返す事になりましたか?」
『ん〜・・・なってないね。あは!僕が原因だね。』
あー、殴っていいですか?
何にが、あは!ですか!!
そうですよね!普通の人間が世界に取り合いされる事なんて無いですよね。そんな事なら、僕みたいに転生スパイラルに合う人続出ですよね。
『でもね、前にも言ったけど、君が強い意志で一つの世界に留まろうと思えば、そのまま人生を終え、転生を繰り返す事は無かったんだよ。だから正確には、私だけの責任とは言えないよ。』
騙されませんよ。
「そもそも、神様が転ばなければ、最初の転生すら無かったですよね?」
『えっ?・・・・あっ・・・うん・・・ごめんなさい。』
この神様が本当に反省しているとは思えませんが、謝罪は謝罪ですから、ここは素直に受け取っておきましょう。
「で、そもそも、僕をこの世界に転生する様に仕向けた 訳は?」
『それがさぁ、一番大きなかけらである君は見つけられたんだけど、小さなカケラが・・・ねぇ』
「ねぇ・・って。それを、僕に集めろって事ですか?」
『正解!それがさぁ、君が神の力を制御できない理由が、どうやら私のカケラが完全じゃ無かったから、みたいなんだよね。だから、頑張ってね。』
「頑張ってってなんですか!」
『だからさぁ、また転生をね〜』
「は??」
『だから、コケた時にポーンと飛んで大きいのは君に、小さいのはバラバラってね』
「はあぁぁぁ?」
『ま、一先ず魔王退治が先だよね!アレの中には、小さなカケラが入ってるし!』
今、大事な事サラッと言いましたね。
『困った事に、カケラの回収には、君の魂が必要なんだよね。って事で頑張って〜』
真っ白な世界に、満面の笑みで手を振る神様。
後で絶対ぶっ飛ばず!!
と、僕は固く誓いました。